平成30年9月20日朝日新聞

いじめメモの隠蔽、複数の市教委幹部が認識か 中3自殺

神戸市垂水区で2016年に市立中学3年の女子生徒が自殺し、いじめをうかがわせる他の生徒からの聞き取りメモが隠蔽された問題で、昨年8月、現校長が市教委の学校教育課長に「メモは学校にある」と電話で伝え、メモが破棄されたと記された第三者委員会の報告書の訂正を求めたのに、同課長が「遺族説明は終わっている」などと拒否していたことがわかった。

メモ隠蔽問題を調査した弁護士の報告書は、隠蔽は首席指導主事の指示だったと認定したが、他の市教委幹部も真相にふたをしようとした疑いが強まった。

昨年8月23日に現校長と学校教育課長が話した内容を一問一答形式で文書にした記録が市教委にあり、共産党の味口俊之市議が情報公開請求して開示された。

記録によると、現校長は①メモは市教委の指示で廃棄されたと前校長から聞いた②メモは学校に残っている――の2点を伝え、第三者委の報告書の訂正を求めた。

だが、同課長は「第三者委の聞き取りからできた報告書であり、意見することは難しい」「すでに、遺族説明も終わっており報告書は固まっている」と述べ、訂正を拒んだ。

この記録は上司の学校教育部長と総務部長にも共有された。

現校長とのやりとりについて、今年6月の市議会で問われた同課長は「どのような話をしたか覚えていない」などと答弁。学校教育部長も「報告を受けたが、何の話か分からなかった」と述べた後、「聞いたかどうかあいまい」と修正し、市教委が組織ぐるみで隠蔽した疑いを否定していた。

19日の市議会で、「現校長とのやりとりを文書で共有しながらなぜ『覚えていない』と答弁したのか」などと追及した味口市議に対し、同課長は「着任したばかりで事情が分からなかった」と釈明した。

市教委が設置した第三者委の調査報告書はいじめがあったと認定したが、自殺の原因は特定しなかった。メモの隠蔽問題を受け、久元喜造市長は今夏、市長部局に新たな調査委を立ち上げて自殺の経緯を調べている。(野平悠一、西見誠一)

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