平成30年9月14日毎日新聞

転落生徒にいじめ「学校に責任」報告書公表せず

千葉県柏市の市立中学校で2015年3月、校舎から転落し意識不明の重体となった当時2年生の女子生徒について、市教委がいじめを受けていたとする報告書を作成していたことが毎日新聞の情報公開請求で判明した。報告書は「組織的対応をしなかったため、転落を未然に防ぐことができなかった」と学校の責任に触れていたが、市教委は内容を明らかにしてこなかった。

県警によると、生徒は校舎4階の教室で所属する部活動の部員数人と話をしていた途中で教室を出た後、駐車場に倒れているのが発見された。4階から飛び降りるのを目撃した生徒もいた。

市教委は同級生らから聞き取りし、16年3月に第三者の検証を経て報告書とその添付文書を市長に提出した。

これら文書は公表されず毎日新聞は同4月、市に情報公開請求した。しかし非開示と決定されたため行政不服審査法に基づく審査を請求。市の審議会が2年かけて審査した結果、「不開示の理由は当たらない」と非開示決定を取り消し、一部が今月3日開示された。

それによると、「(転落の)直接の原因は判断できなかった」としつつも「(生徒が)いじめを受けてきた」と指摘。担任教諭については「女子生徒や保護者からの相談でいじめの認知ができたにもかかわらず、安全配慮義務を果たさなかった」とし、「いじめを過小評価し状況の重大性を十分認識しなかった」と学校側の対応を批判していた。

また、開示された別の文書には「記者会見は行わない」「個人に関する情報として不開示情報の扱いをお願いしたい」などとあった。

市教委の担当者は非開示にしていたことについて「一切出さないでほしいという家族の要望があった。隠蔽とは考えていない」とし、「いじめが起きたことは大変遺憾で責任も感じている」と謝罪した。【橋本利昭】

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