平成28年12月24日 東京新聞

都教委が黒塗りで回答した資料を示す、自殺した男子生徒の遺族=東京都内で
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昨年九月に自殺した東京都立小山台高一年の男子生徒=当時(16)=に対するいじめの有無を巡り、都教育委員会が今年四月、遺族の情報公開請求に「都教委に設置した有識者らの調査部会が、干渉や圧力を受ける恐れがある」として、教員や友人らへの聞き取り調査結果を黒塗りで回答したことが、分かった。

遺族は「真相を究明したいとの思いを圧力とみなすのはおかしい」と不服を申し立て、都個人情報保護審査会が十一月から開示方法の再検討を始めた。いじめ問題の専門家は「調査部会を優先して遺族の知る権利を制限するのは異例で、不当な判断」と批判している。

都教委は取材に「調査途中のため、事実関係に不明確な部分があり、調査部会が結論を出すまで待ってほしいという趣旨だった」と説明した。

男子生徒は昨年九月二十七日、山梨県大月市のJR中央線大月駅のホームから飛び込み、特急電車にはねられ死亡した。生徒のツイッターや自殺後に級友らへ実施したアンケートに「孤立していた」などとトラブルをうかがわせる記述があり、都教委は今年一月、第三者による調査部会を設けた。

遺族は二月、高校側が調査結果を提供しないため情報公開を請求。都教委は、高校の資料二十四点の全体や一部を黒塗りにし、うち九点について「外部からの干渉や圧力により調査部会の自由な意見交換が妨げられる恐れがある」などと説明した。

教員への聞き取り調査結果は、資料名が分からないほど紙全体が黒く塗りつぶされていた。

二〇一一年に起きた大津市の中二男子いじめ自殺で市の第三者委員会副委員長を務めた渡部吉泰弁護士(兵庫県弁護士会)は「いじめ防止対策推進法は行政が被害者側へ適切に情報開示するよう定めており、都教委の対応は不合理だ」と話した。

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