平成31年3月19日付朝日新聞佐賀版

いじめ重大事態 学校の対応遅れ指摘 対策委答申

佐賀県立学校の生徒が同級生から暴行を受けたり、現金を要求されて支払ったりする「いじめ重大事態」があった問題で、「県いじめ問題対策委員会」(委員長・高尾兼利西九州大教授)は18日、県教委に答申した。事案を「重大事態に該当する」と認めたうえで、2度目の情報提供まで加害生徒の聞き取りや指導をしなかった学校の対応の遅れなどを指摘した。

答申などによると、生徒は今年度、同級生から校内外で複数回にわたり殴る、蹴るの暴力を受けた。顔面打撲で病院を受診したこともあったという。現金も要求され、計約15万円を払った。

昨年8月下旬に外部から県教委に情報提供があり発覚。県教委は学校に口頭で伝えた。

学校は被害生徒に聞き取りをしたが、生徒はいじめを一度は否定。8月末に再度確認したところ認めたが、「口外しないでほしい」と話したため、学校は詳しい事実確認や、被害生徒の保護者への連絡、加害生徒の指導などはしなかった。

いじめはその後も続いたため、9月中旬に2度目の情報提供が県教委にあり、学校は加害生徒への聞き取りや指導などの対応を取った。15万円はすでに返済されているという。

答申は「口外されることを望まない被害者の思いに寄り添うことと、被害者の生命・心身・財産を守り通すことの両方を統合した対応が求められる」と指摘。こうした点を取り入れた研修が必要などとした。

答申を受け取った県教委の山口光之危機管理・広報総括監は今回の問題について「いじめをすぐ止めなければならなかった。学校は生徒に『守ってやる』と伝え、(加害生徒の)指導をきっちりやらなければならない」と話した。

答申に対しては「真摯に受け止め、再発防止のため県立学校に指導・通知し、いじめの未然防止や早期発見、対応に一層努める」としている。(杉浦奈実)

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