平成30年12月22日付朝日新聞宮城版
仙台中2自殺、いじめと強い因果関係 第三者機関が結論
仙台市立中学校に通う2年の男子生徒が2016年に自殺した問題で、遺族の再調査要請を受け、市の第三者機関「いじめ問題再調査委員会」(委員長=村松敦子弁護士)は21日、報告書を郡和子市長に提出した。部活動やクラス内での複数のいじめを認定し、自殺との「強い因果関係があった」と結論づけた。
生徒は2016年2月、自宅で亡くなった。市教委の第三者機関「いじめ問題専門委員会」(委員長=本図愛実・宮城教育大教授)は昨年3月、いじめの詳しい事実は特定せず、いじめによる精神的苦痛が自殺の一因とする調査結果をまとめた。これに対し、遺族が「公平・中立性のない答申には納得できない」と批判。当時の市長がいじめ防止対策推進法
に基づく再調査の実施を決めた。
再調査委は、教師や同級生、同じ部活動の生徒らからの聞き取りやアンケートの結果をもとに、部活動の後輩らから「キモイ」などと言われた▽クラスで無視された▽差別的言動、などの事実を把握し、同法が「心身の苦痛を感じているもの」と定義するいじめと認定した。
こうした事態が中学1年から続いた結果、亡くなる前月にはSNSで友人にいじめの悩みを訴え、自殺をほのめかしていた。報告書は「いじめの問題は自死と強い因果関係があった」と結論づけた。
また、生徒は2回のアンケートでいじめの被害をうかがわせる記述をしていたが、教師は事実を丁寧に聞き取らなかった。報告書は、学校の怠慢が事態を悪化させた大きな要因、と判断した。
今回の報告書は、当初の答申が「生徒には発達上の課題があり、からかいの対象になりやすかった」と指摘した点に対し、「いじめの原因を、いじめられた本人の特性や属性に帰属されるかのように読み取ることが可能な説明は、厳に慎むべきである」と厳しく批判した。
仙台市では14年以降、市立中学校の男子生徒が計3人、いじめを受けた後に自殺している。(高橋昌宏)