【10月20日付 朝日新聞山形版】

◆ 調査報告書に遺族側意見書
天童市の市立中学校1年の女子生徒(当時12)が昨年1月に自殺した問題で、遺族側が19日、第三者委員会の調査報告書に対する意見書を市教育委員会に提出した。「いじめが自殺の主要な原因」とする結論を受け入れる一方、再発防止について、外観を取り繕うのではなく、実効性のある教育の内容・方法を検討して実践することを強く要望する、としている。
◆ 「外観取り繕うのではなく」 意見書は同日午前、遺族側の代理人を務める安孫子英彦弁護士が市教委に手渡した。意見書の中で遺族側は「報告書は、担任や部活動の顧問が(いじめに関する)十分な情報を得ながら過小評価して対応を怠り、学校として有効な対策がなされなかったと認定している」とし、「報告書で明らかにされたこれらの事実を受け入れたい」と記している。
また、学校と市教委に、報告書作成のために収集した資料をすべて開示することや、加害生徒と保護者を
速やかに指導することを求めている。
一方、再発防止策について、「対策を講じているような外観を取り繕うのではなく、本当にいじめを許さないという思いで、提言を実践してほしい」と要望。「教育の内容・方法についての突っ込みが不足している。
真に実効性のある教育の内容・方法を検討して公表し、実践することを強く要望する」と訴えている。
朝日新聞の取材に対し、安孫子弁護士は「報告書作成のために集められた資料が開示されていないため、結論以外に意見を述べることができない」と述べた。また、今回の問題について天童市の山本信治市長の考えを明らかにするよう求めたという。
報告書は今月5日、第三者委員会が市教委に提出。市教委は20日、報告書に遺族側の意見書を添えて山本市長に提出する予定だ。(井上潜)

◆ 小学校でいじめ認知件数 増加
県教育委員会は19日、県内の公立小・中・高校、特別支援学校で今年4~7月に認知したいじめ件数を発表した。小中高、特別支援学校計2629件で、前年度同期の2162件に比べて増加、特に小学校は1・5倍に増えた。
この日開かれた県いじめ問題審議会(会長・河野銀子・山形大教授)で県教委が報告した。
学校別では小学校1654件(前年度4~7月1074件)、中学校644件(同621件)、高校288件(同431件)、特別支援学校23件(同36件)。小学校ではすべての学年が増加し、特に5年生は前年度の117件から278件に増え、2・4倍近くになった。県教委は「全県統一アンケートや個別の面談によって、いじめを発見する学校側の感度が高まった結果」としている。
いじめの態様は、冷やかしやからかい、悪口など言葉によるいじめが6~7割を占め、前年度と同じ傾向だった。
審議会では、天童市の第三者委員会の調査報告書についても意見交換。部活動でのいじめ防止について、委員からは「部活動の目的は人格形成であって競争ではない。その認識を顧問の教員は持つべきだ」などの意見も出た。(米沢信義)

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