2021年1月7日神戸新聞NEXT
兵庫県庁3号館
兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が2016年にいじめを受けて自殺した問題で、教員の処分が適正になされていないとして、遺族側が兵庫県教育委員会に対し、再調査を求めていたことが6日、関係者への取材で分かった。当時の部活動の顧問、副顧問が、いじめの存在を示すメモをシュレッダーで破棄していたことについて、市教委が県教委に報告していなかった点を問題視している。
県教委は教職員の処分権限を持っており、18年11月、16年当時の校長を戒告の懲戒処分とした。顧問を懲戒に当たらない厳重注意とし、副顧問は処分していない。
関係者によると、遺族が18年6月、市教委職員の同席の下、副顧問から話を聞いたところ、17年までの第三者委員会の調査で「紛失した」とされていたメモを、破棄していたことを明かした。副顧問は遺族が話を聞いた1カ月前に校長に報告し、校長は顧問に確認したと説明したという。
遺族は昨年9月、学校側が適切に対応していれば自殺は防げたなどとして、市に損害賠償を求めて提訴。同12月28日付で提出された再調査の要請書で、遺族側は「真相究明を妨害し、隠蔽(いんぺい)と評価されるべき重大な非違行為を把握しないまま処分を下したということであれば、適正な処分ということはできない」としている。
県教委は「処分の基になる調査を行う加古川市教委と内容を共有した」と説明。「今後、第三者委員会をやり直したり、その報告書の内容が変わったりすれば、処分を再検討することもあり得る」とする。
市教委は「県教委には事実に基づいて報告している。詳細については裁判に関わることなので答えられない」としている。
(斉藤正志、斉藤絵美)