2021年1月6日付朝日新聞デジタル

加古川・中2自殺で提訴 遺族がコメント発表

兵庫県加古川市立中学校2年の女子生徒(当時14)が、いじめを苦に自殺してから4年。遺族が昨年、市を相手取り、約7700万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。市が設けた第三者委員会が自殺の原因をいじめだと認定してから、市教委と続けてきた話し合いが決裂したという。2月10日に開かれる第1回口頭弁論を前に、両親が提訴に至った思いを代理人を通じて発表した。要旨は次の通り。

娘が私たちの前からいなくなってから4年経ちますが、遺族にとっては昨日のような出来事で、毎日いつもの調子で帰ってくるのではないかと錯覚さえする日々を送っております。

娘と交わした我が家にとってはほんのささやかな明るい未来の約束、それすらかなわなく置き去りになってしまった現実を胸に、自分自身の自責、加害者への恨み、教育委員会への憤りで一日が始まり一日が終わり悲壮感は尽きません。一歩進みたいが進めない。このような状況は想像できるでしょうか。

第三者委員会の答申後、私たちは関係者の協力で当時の教員と面談し、報告書の内容だけでは不明な経緯の確認作業と、教育委員会がとった行動に、遺族は深く傷つけられました。学校側の対応に納得するものは一つとして無かったのですが、市教委や学校に事実に向き合って教育の現場で再発防止を実現してほしいと願って、水面下で遺族側から和解策を提示し対話を試みました。しかし、教育委員会が最後まで法的責任はないという考えに固執したことによって、話し合いは決裂し訴訟に踏み込んだのが経緯であります。

この交渉過程でも教育委員会の誠意を感じることはありませんでした。娘の死を置き去りにしようとしている対応姿勢が続き一層怒りが募りました。和解策についても、本来は遺族から申し入れすることでなく、自ら組織としてどうすべきかと打診してくるのが筋ではないでしょうか。そうした姿勢に、娘の命を軽視しているとしか思えませんでした。

「遺族に寄り添う」という言葉を口にしますが、それはあまりに軽く、心に響くことはありませんでした。この訴訟は4年間、教育委員会と協議した果ての最終手段であり遺族の怒りだと理解してください。

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