2021年1月5日付神戸新聞NEXT
加古川・中2自殺 市提訴の遺族「市教委は娘の死を置き去りに」
兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が2016年にいじめを受けて自殺した問題で、遺族が5日、代理人弁護士を通じてコメントを出し、市を提訴した理由を明かした。17年に第三者委員会が自殺はいじめが原因だと認定した後も、市教育委員会は法的責任はないとの考えに固執して話し合いが決裂したといい、その姿勢は「娘の命を軽視している」と指摘している。(斉藤正志)
コメント全文は次の通り。
娘が私たちの前からいなくなってから4年と月日はたちますが、遺族にとっては昨日のような出来事で、毎日いつもの調子で帰ってくるのではないかと思わせる錯覚さえする日々を送っております。果たされなくなった娘と交わしたわが家にとっては、ほんのささやかな明るい未来の約束、それすら叶わなく置き去りになってしまった現実を胸に、自分自身の自責・加害者への恨み・教育委員会への憤りと、日々その闘いで一日が始まり一日が終わり悲愴感は尽きません。一歩進みたいが進めないこのような状況は想像できるでしょうか。
第三者委員会答申後、私たちは関係者の協力で当時の該当教員と面談し、報告書内容だけでは不明な経緯の確認作業と後の教育委員会がとった行動(加害者高校推薦など)に、遺族は深く傷つけられました。学校側の対応に納得するものは一つとして無かったのですが、市教委・学校に事実に向き合って教育の現場で再発防止を実現してほしいと願って、水面下で遺族側から和解策を提示し対話を試みました。しかし、教育委員会が最後まで法的責任はないという考えに固執したことによって、話し合いは決裂し訴訟に踏み込んだのが経緯であります。
この交渉過程でも教育委員会の誠意を感じることはありませんでした。娘の死を置き去りにしようとしている対応姿勢が続き一層怒りが募りました。和解策についても、本来は遺族から申し入れすることでなく、自ら組織としてどうすべきかと打診してくるのが筋ではないでしょうか。そうした姿勢に、娘の命を軽視しているとしか思えませんでした。
「遺族に寄り添う」という言葉を口にしますが、それはあまりに軽く心に響くことはありませんでした。
この訴訟はこの4年間教育委員会と協議した果ての最終手段であり遺族の怒りだと理解してください。