2021年2月10日付朝日新聞
吹奏楽部顧問が部員蹴り、暴言…謹慎処分に 広島新庄高
広島新庄中学・高校(広島県北広島町)の吹奏楽部顧問の男性教諭(42)が、部員への体罰や暴言を理由に、昨年12月末から2週間の謹慎処分を受けていたことが、同校への取材でわかった。現在、顧問も外れている。教諭は2018年9月にも別の部員への暴言で謹慎処分となったという。
学校や関係者によると昨年10月、部活動の練習中に筆記用具を忘れた高2の男子生徒に対し、足を蹴る体罰を加えた。生徒にけがはなかった。教諭は学校の調査に「生徒の態度で理性を失いかけた。蹴る意思があった」と認めたという。教諭は部員たちに「バカ」「本気でやらんと殺すよ」などの暴言も繰り返していたという。
さらに、昨年8月の校内合宿中に、飲酒していたとの情報が保護者から寄せられた。当初、学校に「一度きり」と説明したが、その後、複数回飲酒したことを認めた。こうした虚偽報告も処分の理由となった。
学校は、4月から顧問に復帰させることを念頭に、吹奏楽部の指導方法をまとめたガイドラインを作成中という。
保護者からは「女子生徒にマッサージをさせている」との指摘もあった。学校が昨秋調べたところ、教諭は18年以降、女子生徒によるマッサージを頻繁に受けていたことを認めたという。マッサージをした生徒は複数おり、学校側に「自発的にした」と説明したという。
6年連続で中国大会へ 校長「情熱が…」
この教諭は07年に吹奏楽部の外部講師として着任し、数年後に教諭として採用された。同校は11年に全日本吹奏楽コンクール中国大会に初出場し、14~19年の6年連続で中国大会に進んだ。荒木猛校長は取材に対し、「強くしたいという部活動にかける情熱が間違った形で出てしまったと理解している。暴力や暴言は肯定できない」と話した。
学校が昨年、吹奏楽部の全部員に調査したところ、処分の対象となった事案以外にも、この教諭に胸ぐらをつかまれたと話す生徒や、指揮棒を投げたり、譜面台を蹴ったりしたと訴える生徒もいたという。荒木校長は「過去の実態を詳細に把握することは難しく、生徒に重大なけがなどがない限り、調べる予定はない」としつつ、「非常に残念で申し訳ない。生徒、保護者との信頼関係の構築に努めたい」と話した。
県学事課の担当者は「内部管理の問題。校内で適切に対処していただく」と話している。
県吹奏楽連盟の古土井(ふるどい)正巳理事長は「事実であれば非常に残念」と話している。吹奏楽部員の保護者の一人は「子どもは先生の顔色を見ておびえながら部活をしている。教員としてあるべき姿ではないし、クラブは先生の私物じゃない」と憤った。(西晃奈)