【9月28日 朝日新聞福島版】

記者会見で、自殺した生徒や遺族、県民への「おわび」をする菅野誠・教育次長(左)と
大沼博文・高校教育課長=県庁

●生徒自殺 第三者委設置へ
会津地方の県立高校で自殺した女子生徒は、部活動で人間関係のトラブルを訴えていた。県教育委員会は来週にも専門家を交えた委員会を設置し、いじめがあったかなどを調べる。なぜ女子生徒は死を選んだのか。
県教委と学校によると、女子生徒の遺体がトイレで見つかったのは19日午前4時。机に残された私物の中にはメモ書きが残されていた。書かれていたのは自分に対するつぶやきや、部活の友人にあてた思い。自殺を示唆する内容はなかったという。
学校が23日、生徒が所属する部活の約60人にアンケートをしたところ、7人が女子生徒について「部活で人間関係のトラブルがあった」という趣旨の回答をしたという。県教委の大沼博文・高校教育課長は、いじめをうかがわせる表現はなかったとして「いじめではないととらえている」と述べた。
学校は女子生徒のトラブルは把握していた。
今年4月に、担任が面談したところ、女子生徒は部活でのトラブルを打ち明けたという。その後、トラブルに関わったとされる複数の生徒には部活の顧問が注意した。女子生徒は担任に勧められて6月上旬から休部し、8月にいったん復帰したものの、9月から再び部活を休んでいた。
県教委と一緒に記者会見した校長によると、女子生徒の一件は同学年の教員、校長、教頭で共有していたが、県教委には報告していなかった。校長は「教室では笑顔も見えて、修学旅行の準備にも喜々として取り組んでいた。よい方向に向かっていると思った」と話した。
これに先立ち、生徒は昨年度にも計20日間ほど学校を休み、とくに昨年9月以降は欠席が目立った。校長は「体調不良と聞いていて、当時は問題に気付かなかった」と話す。
自殺を受けて、学校は校内でのトラブルを把握するため、24、25日に全校生徒にアンケートを実施した。
女子生徒のトラブルを証言した7人を含む生徒たちからヒアリングし、自殺の原因を調べる方針だ。県教委は来週にも、心理学や法律などの専門家を交えた「第三者委員会」を設置する。
生徒と同じ部活に所属する男子生徒は「学校からは亡くなったとだけ聞いた。気持ちの整理がつかない」。
女子生徒の父親は、朝日新聞の取材に対し「委員会の調査を見守りたい」と話した。

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【読売新聞福島版】

高2自殺、知事「しっかり整理して」
◆県教委記者会見の遅れに
会津地方の県立高校2年の女子生徒が校舎内で自殺した問題で、県教育委員会が19日未明に遺体を発見しながら26日午後まで記者会見しなかったことについて、内堀知事は28日の定例記者会見で、県民への情報発信や説明が適切だったかどうか検証するよう県教委に促した。
内堀知事は記者会見で、「情報公開のあり方は絶えず私どもの課題。県教委は今回の対応がどうだった
のか、しっかりと整理していただきたい」と述べた。県教委は、学校施設内で生徒が命を絶った重大な問題にもかかわらず、何日も記者会見を開かなかった理由について「遺族に説明していた」などと話している。

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