宝塚・中2自殺 学校や市教委、別生徒のいじめ被害の対応怠る

令和2年6月30日付神戸新聞

兵庫県宝塚市で2016年、市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、女子生徒が亡くなる1年前に別の生徒が遭っていたいじめについて、市教育委員会は当初、学校などと電話でやりとりしただけで「交友関係のトラブル」と判断していたことが29日、市教委への取材で分かった。標的が次々と入れ替わるいじめが部活動で横行する中、学校、市教委ともに問題視せず、適切な対応を怠っていた可能性がある。

市教委が当時の校長らに事実関係を聞き取ったとして29日、同市議会議員総会で報告した。

この問題を巡っては、再調査委員会が今月22日、自殺した女子生徒への25件のいじめを認定し、自殺と強い関連性があるとする報告書を公表。同じ部活動では1年前から女子生徒以外の部員に対するいじめが計22件あり、別の生徒1人が脱毛症や不登校になるなどしていたことを明らかにした。

市教委によると、15年9月上旬に学校は別生徒の脱毛症などを把握し、秋ごろに市教委へ「(いじめ防止対策推進法が定める)重大事態に当たるか」と電話で相談していた。しかし、市教委は付属機関の「市いじめ防止対策委員会」の委員と電話で協議しただけで「交友関係のトラブル」と判断。学校、市教委ともに、後に生徒の自殺につながる事態の深刻さに気付かず、いじめ対策委も踏み込まなかったという。

自殺した女子生徒の遺族は「前年のいじめに徹底した指導があれば、娘が自死に追い込まれることも防げた」としている。市教委は再調査委の公表後、「事実関係を調査中」としていたが、改めて「重大事態として対応すべきだった」と説明した。(大盛周平)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

Post Navigation