平成30年11月10日付毎日新聞

長へ報告1年後 法律など違反の疑い

川口市の市立中学3年の男子生徒(15)が、いじめが原因で3回自殺を図り不登校になっている問題で、市教育委員会や学校がいじめ防止対策推進法や文部科学省のガイドラインに反する疑いがある対応をしていた。市長への報告が最初の自殺未遂から1年以上過ぎてからになるなどした一連の対応に生徒側は不信感を強め、専門家も批判している。【鴇沢哲雄】

母親(43)や市教委によると、生徒は2016年4月に入学。5月ごろから、同じサッカー部の同級生や先輩から仲間外れにされるなどのいじめを受けるようになった。

生徒は9月、いじめを訴える複数の手紙を担任教諭に提出。直後と翌10月の2回、自宅で自殺を図った。17年4月にマンションから飛び降りて重傷を負い、直後に学校はいじめを認めた。

生徒が16年9月に担任に渡した手紙には、仲間外れや無視、陰口など具体的ないじめの内容のほか、「ぼくは、生きてちゃだめなんだ」などと自殺を示唆するような記述もあった。しかし学校は同年11月、母親に「調査の結果、いじめは確認できなかった」と電話で伝えたという。

同法では、いじめで自殺や不登校など重大な被害が生じた疑いがある場合、学校は自治体の長に速やかに報告する義務がある。ところが、市教委が同法に基づく重大事態として市長に報告したのは1回目の自殺未遂から1年以上が過ぎた17年10月だった。

市教委は翌11月、事実関係を調査するため同法に基づく第三者委員会を設置したとしているが、委員の氏名を公表しないなど設置の明確な根拠を示していない。

ガイドラインでは被害者側の意向を踏まえた調査にするため、調査開始前に調査目的や委員の人選などの説明を義務付けているが、ガイドラインに反し生徒側に説明していなかった。

母親は「調査委を設置したことや議論の内容なども一切知らされていない。本当に調査委を設置していれば記録があり、すぐに説明できるはず。それをしないのでは、調査委の実態がないと考えるのが自然だ」と批判している。

 

教育評論家の尾木直樹さんの話

生徒が手紙でいじめを訴えているのに、いじめを認めないこと自体が重大で隠蔽だ。第三者委員会が被害者側の聞き取りをしなければ調査とはいえない。

文部科学省は(いじめとは言えない)学校内でのトラブルでも、被害者側の立場に立って聞き取りをするよう求めている。いじめをなくすためには、いじめを防止する視点で考えなければいけない。

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