平成28年2月26日朝日新聞西部本社版夕刊

熊本高1自殺 「いじめが影響とは認めがたい」調査委

2013年8月に、「LINE(ライン)」の書き込みなどで同級生からいじめを受けていた熊本市内の熊本県立高校1年生の女子生徒(当時15)が自殺した問題で、学校が設置した調査委員会(委員長=園部博範崇城大准教授)は26日、「いじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」とする報告書をまとめ、遺族に手渡した。

学校は14年、女子生徒への複数のいじめを認定。十分な対応をしていなかったとして遺族に謝罪したが、自殺との因果関係は「不明」として、調査を続けていた。

女子生徒は13年4月に入学し、熊本市内の学生寮で生活。同年8月17日に、夏休みで帰省中の同県上天草市内の実家で首をつって自殺した。

県教委などによると、女子生徒は同年5~6月から、「LINE」上に同級生から「レスキュー隊を呼んでおけ」と脅迫する内容や身体的特徴をからかう言葉を書き込まれたり、中学の卒業アルバムに落書きをされたりした。物を隠されたり、スマートフォンを無断で使われたりしたこともあった。

保護者は担任に相談。対応を任された寮担当の教師は、生徒同士の話し合いで「和解した」と思い込んでいた。生徒の自殺後、学校は教師らによる校内調査委を設け、14年10月にいじめがあったと認定していた。

昨年2月にメンバーを園部准教授と社会福祉士、弁護士、校長と保護者代表の5人に改めた調査委を設け、校内調査委のアンケートをもとにした聞き取りなどを経て、「寮で起きたいじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」とする報告書をまとめた。(籏智広太)

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