平成29年8月28日朝日新聞
野球部員「100m走100本」で熱中症 コーチの指示

 私立美濃加茂高校(岐阜県美濃加茂市)硬式野球部の2年男子生徒(16)が部活動中に重度の熱中症で救急搬送され、集中治療室で一時治療を受けたことが分かった。コーチである男性非常勤講師(26)の指示で100メートル走を100本以上した後だったという。
 同校によると、コーチは8月16日午後1時ごろ、生徒に100メートル走を100本命じ、さらに30本を追加。
生徒は練習開始から約3時間後、残り数本のところで意識がもうろうとなって倒れたという。給水はコーチの許可を得るよう指示され、この間に生徒が補給したのは2回だった。16日の美濃加茂市の最高気温は27・8度だった。
 当時、近くには監督(33)もいた。監督はこうした練習内容を了承し、室内練習場で別の部員を指導しながら、この生徒の様子も時折見ていたという。
 生徒は搬送先の病院の集中治療室で5日間治療を受けるなど、1週間入院した。その後、自宅で療養し、28日は登校予定といい、野球を続ける意思を示しているという。
 生徒は主力として期待されていたといい、コーチは生徒の生活態度を理由に「気合を入れ直さないといけない」と考えたという。
 同校から連絡を受けた県高校野球連盟は25日、同校に報告書提出を求めた。同校は26日、コーチを無期限指導停止、監督を厳重注意の処分とし、部の保護者会を開いて再発防止策などを説明した。赤崎耕二校長は「体罰に近い行き過ぎた指導だった。生徒の健康管理を徹底し、二度と事故が起きないようにしたい」とコメントした。
 同校野球部は1973年創部で部員数54人。夏の甲子園に80、90年の2回、出場した。今夏の成績は岐阜大会8強だった。
■「事実なら体罰そのもの」
 〈体罰問題に詳しい日本体育大の森川貞夫名誉教授(スポーツ社会学)の話〉 事実なら、生徒への一方的な押しつけで体罰そのもの。高野連も注意喚起をしているのに、今どき信じがたい。なぜ健康管理がしっかりできなかったのか、学校の責任も問われる。仮に「気合」を入れ直すためであっても、なぜその練習をするのか本人が理解しなければ意味がない。指導者は科学的なトレーニング法を学習し、実践しなくてはならない。

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