3年前の中3自殺 「担任の個別指導が引き金」 第三者委が鹿児島市教委に最終報告 大声で叱責、対応の不備も
2021年7月1日南日本新聞社
杉元羊一鹿児島市教育長(左)に報告書を手渡す調査委員会の有倉巳幸委員長=6月30日午後、鹿児島市教育総合センター
報道陣の質問に答える鹿児島市の杉元羊一教育長=6月30日午後、鹿児島市教育総合センター
鹿児島市の公立中学3年の男子生徒=当時(15)=が2018年9月、学校で個別指導を受けた後に自宅で自殺した問題で、市教育委員会が設置した第三者調査委員会は30日、「担任教諭による大声での叱責(しっせき)など、個別指導が引き金になった」とする最終報告書を、杉元羊一教育長に提出した。市教委や学校の対応について「適切さに欠け、遺族側の心情を受けとめられなかった」と不備を認めた。
2019年1月設立の調査委は弁護士や精神科医ら5人で構成。学校や生徒らに聞き取りし、結果をA4判約100ページにまとめた。
提出後に会見した調査委によると、個別指導で生徒が涙を流した理由を「信頼関係の希薄な担任に、進路の不安が露見し動揺したため」と推測。「受験や夏休み後の登校というストレスが重なったところに(叱責を含む)個別指導が行われ、限界を超えた」と分析した。
市教委や学校の対応について「(遺族側が)不信感を抱くやりとりがあった」と指摘。担任の指導法について「生徒や保護者で受け止めに差があることを踏まえた説明が必要だった」と強調した。
再発防止策などで、生徒に恐怖を与える指導の改善や適切な情報開示といった6項目を提言した。委員長の有倉巳幸鹿児島大学教授(教育心理学)は「社会全体で活用してほしい」と話し、時期は未定ながら報告書を公開する方針を示した。杉元教育長は「(指摘を踏まえ)指導の在り方などを見直す」と述べた。
生徒は18年9月3日に自殺。学校によると、未提出の宿題について担任から個別指導を受け涙を流していた。その後、自宅で自殺しているのを家族が発見した。