【10月21日 河北新報】
今後の対応などを説明する山本市長(左から2人目)
天童一中1年の女子生徒=当時(12)=が昨年1月に自殺した問題で、天童市の山本信治市長は20日、いじめが主要な原因と認定した第三者調査委員会の報告書と遺族側の意見書を市教委から受け取った。
「行政の長として本市で起きた悲しい事件には大きな責任がある」と述べ、再発防止に向けて教育の充実を
図る方針を明らかにした。
市役所で記者会見した山本市長は、いじめ対策連絡協議会を新たに設置して、未然防止対策や啓発活動
の充実を図る考えを表明。「関係者と連携し、二度とこういう事態にならないように全力で取り組むことが私の責任だ」と強調した。
遺族は意見書で「学校と教諭の落ち度についてどのように考え、どのような形で遺族に対する責任をとる
つもりなのか、明らかにすること」と要望していた。
いじめによる自殺は、災害共済給付制度を利用した死亡見舞金の支給対象となるが、山本市長は遺族に対する賠償などには言及しなかった。
遺族側が意見書で要望した第三者委の収集した資料の保存については、会見に同席した水戸部知之教育長が「永年保存を考えている」と語った。
第三者委の野村武司委員長も同席し「学校は1回会って反省しなさいというような単純な指導でなく、時間をかけて事件に向き合ってほしい」と話し、あらためて加害生徒らへの指導の徹底を求めた。
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【山形新聞】
天童いじめ問題、市長「大きな責任」 報告書開示受け学校側落ち度指摘
会見で「大きな責任を感じている」と述べる山本信治天童市長(左から2人目)=天童市役所
天童市の中学1年の女子生徒が、学校でいじめを受けて自殺した問題で、いじめが自殺の原因になり、学校が対応を怠ったと指摘した第三者委員会の調査報告書と遺族からの意見書が20日、同市の佐藤通隆教育委員長から山本信治市長に手渡された。山本市長は「大きな責任を感じている」と述べ、学校側の対応
について「大きな欠落があった」との認識を示した。
報告書は市役所で手渡され、第三者委の野村武司委員長らが同席して内容を説明した。その後、記者会見した山本市長は報告書に関し、「大変厳しく、つらい内容だった。痛惜の念を感じている」と語った。
自身の責任については「学校設置者というよりも、行政の長として、本市で起きた悲しい事件の責任は、
わたし自身も大きい」と説明。今月7日には、遺族宅を訪れて謝罪したことも付け加えた。市長としての
責任の果たし方については「再発防止に全力で取り組む」とした。
また、「当時の学校にはいじめに関する連絡体制があったが、機能せず、いじめも認識できず、対応できなかった。大きな欠落があった」と、学校側の落ち度を指摘した。再発防止に向けた対策として、教育、人権擁護、警察、PTAなど13団体の代表で組織する「いじめ問題対策連絡協議会」を(10月30日に)
発足させる方針を示し、「多くの協力を得ながら報告書の提言を丁寧に実行し、毎年チェックを重ね、快適な学校生活を送れるようにしたい」と説明した。
加害生徒への指導に関し、野村委員長は「『駄目じゃないか』『謝りなさい』ではなく、亡くなった生徒がどんな思いだったのか―に考えが至るプロセスを大切にし、時間をかけてこの事件と向き合ってほしい」と話した。報告書が市長に提出されたことで第三者委の任期は終了した。
吉村知事、二度と起こらぬよう地域と防止策を図る
天童市の中学1年女子生徒の自殺問題で、第三者委員会の報告書の開示を受け、吉村美栄子知事は20日、「教育関係者は重く、厳しく受け止めなくてはならない。これまでのいじめ対策が十分だったか、あらためて検討させたい」と述べた。
県教育委員会は、先の県いじめ問題審議会の席上、いじめ防止に向けた検討課題を設けて状況改善に
つなげる方針を示している。これを踏まえ吉村知事は定例会見で、「全ての教育関係者がいじめを見抜く
感度を上げ、被害者の心情を受け止めて対応することが大切だ。痛ましい事案が二度と起こらぬよう、
地域と一丸となっていじめ防止対策を図っていただきたい」と強調。今回の学校関係者の処分については
「県教委が十分に検討し、適切に判断してもらいたい」と述べた。