【1月8日付 河北新報】

女子生徒が亡くなった現場に花を供え、手を合わせる女性
天童一中(山形県天童市)1年の女子生徒=当時(12)=が2014年1月にいじめを苦に自殺した問題で、天童市の山本信治市長は生徒が亡くなって丸2年となった7日、遺族に「要望があれば伺いたい」と述べ、今後の対応に関する話し合いを直接打診した。生徒の母親は取材に対し「まずは市から具体的な提案を聞きたい」と語った。
母親によると、山本市長は遺族宅を弔問して意向を示した。協議方法、内容について説明はなかった。
遺族は学校設置者の市と教師らの責任の明確化、再発防止策の具体的提示などを求め、市を相手に損害賠償請求訴訟を検討している。母親は「市長の短い言葉だけでは真意が分からない。裁判で決着をつけたい気持ちは強く、納得のいく方法を考えたい」と、代理人弁護士らと相談して慎重に対処する姿勢を強調した。
遺族代理人は山本市長の打診前から河北新報社の取材に対し、提訴せず市側と交渉して遺族の要望を実現する方策を選択肢として挙げていた。母親は「市側から積極的な働き掛けがあれば別だが、そのような話もない」と話していた。
市は双方の代理人による協議を想定する。山本市長は弔問後、「ご遺族の考え方を十分に聞き、丁寧に対応していきたい」とのコメントを出した。
女子生徒の自殺をめぐっては、第三者調査委員会が昨年10月、「いじめが主要な原因」と認定した報告書を市教委に提出した。担任と部活動顧問ら教師と学校の対応を厳しく批判した。
山本市長は報告書を受けて「大きな責任がある」と述べて謝罪した。昨年12月の市議会では、賠償などを促す質問に対し「遺族との関係もあり答弁は差し控えたい」と答えていた。
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【1月7日付 山形新聞】

[b]中1女子自殺で天童市、遺族と協議へ 母親「打診あれば受けたい」[/b]

女子生徒が命を絶った現場には多くの花束などが手向けられている=6日、天童市

天童市の中学1年の女子生徒=当時(12)=が学校でいじめを受け、2年前の1月7日に自殺した問題で、市側が今後の対応について遺族側と協議を始める方針を固めたことが6日、関係者の話で分かった。山形新聞の取材に対し、遺族は同日、「打診があれば受ける」との考えを示し、近く、両者の話し合いが始まる見通しとなった。
女子生徒の自殺については、第三者委員会が昨年10月に報告書をまとめ、「いじめが自殺の主因」と認定した上で、「学校は適切な対応を怠った」と落ち度を指摘。これを受け、山本信治市長は「大きな責任を感じている」との考えを示している。一方で遺族は、市のほか学校や関係した教員の責任の明確化に加え、具体的な再発防止策の提示などを求めている。
関係者によると、両者の協議は、こうした経緯を踏まえ、双方の代理人によって進められる見込み。
市側は既に一定の責任を認める姿勢を示しており、今後は金銭的な問題を含め遺族側から要望を聞いた上で、折り合いの可能性も探っていくとみられる。
遺族の母親は「これまで市からは何の打診もなかったが、協議の場が設けられるなら受けたいとする一方、訴訟についても言及し、「金銭的な問題はまったく関係なく、どんな結果が出ようとも、裁判所の判断を仰ぐことが娘の思いを果たすことにつながるのではないか、との気持ちもある」と話している。

【きょう7日で2年・遺族コメント】
女子生徒が死亡して7日で2年を迎えるのを前に、母親が6日、コメントを発表した。全文は以下の通り。

娘が亡くなり、7日で2年になります。昨年秋に調査委員会から報告書が提出され、その後、いじめに関わった生徒の一部が親とともに謝罪に訪れました。
その時、謝罪に来た生徒を前にして「あなたたちがいじめたりしなければ、間違いなく娘は生きていた。
娘を返してくれ」という思いとともに、「1年生の春にみんな希望を持って同じように入学したのに、なぜこんなことになってしまったのだろう」という思いを抱きました。
娘を失い、私たち家族は一生癒えることのない悲しみの中で生きていかなければなりません。そして、謝罪に来た親子も重い責任を感じて生きていくことになるでしょう。
学校や教職員が真摯に生徒や保護者と向き合い指導していたなら、こんな不幸な結果にはならなかったと思います。被害者も加害者も生まれることはなかったと思います。残念でなりません。
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【1月7日付 読売新聞山形版】

[b]天童いじめ自殺2年 遺族が談話[/b]

2014年1月、天童市でいじめにあっていた中学1年女子生徒(当時12歳)が自殺した問題は、7日で発生から2年となる。生徒の遺族は6日、弁護士を通じて談話を発表し、「学校や教職員が真摯に生徒や保護者と向き合い指導していたら、こんな不幸な結果にならなかった」と、愛する家族を失った苦しみを吐露した。
生徒の命日にあたる7日には、山本信治市長や佐藤通隆・市教委委員長、水戸部知之教育長が遺族宅を訪れる予定。遺族はこれに先立ち、複雑な心境と、同じような悲劇を繰り返してほしくないといった思いをA4判1枚にまとめ、弁護士に託した。
この問題を巡っては、真相究明にあたった第三者調査委員会が昨年10月、「いじめが(自殺の)主要な原因」とし、学校側の対応の不適切さを指摘する報告書を市教委に提出した。遺族は談話の中で、報告書提出後に、一部の加害生徒から謝罪を受けたことに触、「娘を返してくれ」との思いと、「なぜこんな事になってしまったのだろう」との思いが、複雑に交錯したことを振り返った。
その上で、「娘を失い、私たち家族は、一生癒えることのない悲しみの中で生きて行かなければなりません。
そして、謝罪に来た親子も、重い責任を感じて生きて行くことになるでしょう」とし、学校側が適切に対応していれば「被害者も加害者も生まれなかった」と悔しさをにじませた。

女子生徒が通っていた中学校は昨年12月、いじめの再発防止策として学区内の全小学校との連携を強化。
各校の教員が定期的に出席し、対策を検討する「小中連携推進委員会」を設立した。
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【NHK山形放送局】

[b]女子中学生いじめ自殺から2年[/b]

天童市で女子中学生がいじめが主な原因で自殺してから7日で2年がたちました。
現場には花や飲み物が供えられ訪れた市民が静かに手を合わせていました。
おととし1月7日、天童市で中学1年の女子生徒が山形新幹線にはねられて死亡し、市の教育委員会が設けた第三者委員会が調査した結果、去年、いじめが主な原因で自殺したと認定しました。
2年となる7日、女子生徒が亡くなった現場には、花や飲み物などが供えられていました。
また、朝から市民が訪れ静かに手を合わせていました。
一方天童市の山本信治市長は7日朝、遺族の自宅を訪れたということです。
女子生徒の遺族は代理人の弁護士を通じてコメントを出しました。
この中で遺族は「学校や教職員が真摯に生徒や保護者と向き合い指導していたなら、こんな不幸な結果にはならなかったと思います。被害者も加害者も生まれることはなかったと思います。残念でなりません」などと今の心情をつづっています。

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