平成28年12月24日 河北新報 

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越教育長(右)に報告書を提出する須山委員長

  岩手県矢巾町の中学2年村松亮さん=当時(13)=が昨年7月、いじめを苦に自殺したとみられる問題で、町教委の第三者委員会は23日、「部活動やクラスでいじめが継続していく中で『死にたい』と思う考えが出現し、自殺の一因となった」と結論付ける調査報告書を提出した。学校の対応については「対処が担任にとどまり、学校全体としての対策が極めて不十分」と責任の重さを指摘した。
 報告書は、村松さんが1年生の部活動で同級生から失敗を責められたり、2年生のクラスで暴力やからかいを
受けたりした経緯を「いじめに該当する」と認定した。
 村松さんが「死にたい」と思い始めた背景については「継続的ないじめを受けていたことが一つの要因になっていた」
と指摘。ただ、遺書を残していないことなどから「自殺の原因を特定するのは困難。いじめが自殺に対し、どの程度の影響を与えたのか断定できない」と判断した。
 記者会見した第三者委の委員長の須山通治弁護士(盛岡市)は「個別にいじめを認定する手法は取らず、一連の
事実の積み重ねをいじめと認定した」と説明した。
 学校に対しては「(村松さんの)『死にたい』という言葉が担任にとどまった原因の追及が不十分。学校全体の情報
共有が不適切だった」と強調した。
 町教委は同日午後、村松さんの父親(41)に報告書を手渡した。父親は「全文を読み込み、内容を把握したい」
と話した。
 中学校の校長は「不十分な対応を厳しく指摘された。二度と同じような悲しい事案が起こらないよう対応する」との
談話を出した。

◎調査報告書の要旨
▼1年生時代も含め、教室や部活動で同級生から受けた暴力や失敗を責め立てるような言動をいじめと認定。
▼継続的ないじめが「死にたい」という思いを抱く一因となった。
▼村松さんの周囲で発生したもめ事の対応を担任教諭に任せ、学校全体で情報を共有しなかった。
▼生活記録ノートに6回記された「死」について、担任教師は「教師の気を引くため」と理解した。
▼生活記録ノートに「死」が記された事実を保護者に伝えなかった学校の対応は不適切。
▼町教委のいじめ防止基本方針が示す具体策は実施されないか、十分に実施されないうちに村松さんの自殺に至った。

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