平成30年1月10日朝日新聞神戸版
加古川いじめ自殺巡り小中アンケート再確認へ
加古川市立中学2年の女子生徒(当時14)が一昨年9月に自殺し、市教委が設置した第三者委員会がいじめが原因と認定した問題で、市内の全小中学校は、昨年11月に児童・生徒を対象に実施した学校生活アンケートの回答内容を改めて確認する。
市教委が9日から始まった新学期に先立ち、5日に全40校の校長に方針を伝えていた。
アンケートを巡っては、女子生徒がいじめをうかがわせる内容の回答をしていたのに学校側は対応しなかった、と第三者委が批判していた。市教委はこれを受け、アンケートのなかで女子生徒のような回答を見逃していないか、再発防止の観点から小中学校に再確認してもらう。近く市内の全教職員を対象に開かれる研修会で、回答を確認する方法などについて具体的に指示する。
アンケートは2013年度、いじめや不登校などをなくすために導入された。15年度からは6、11月の年2回、市内全校の小3~中3を対象に実施されている。友人や教師との関係、学習など学校生活全般にわたって34の質問があり、「あてはまる」から「あてはまらない」まで5段階の回答を選択する。
第三者委によると、この女子生徒は、自殺する3カ月前の16年6月に実施したアンケートで「からかわれたり、バカにされることがある」「友達にいやなことをされることがある」など複数の問いに、いじめをうかがわせる回答を選んでいた。その結果、女子生徒は友人との関係などで「要支援状態」だったにもかかわらず、当時の担任らは質問ごとにどんな回答をしていたかは確認せず、個別に事情を聴くこともなかったとされる。
第三者委の調査結果の発表を受けて昨年12月に会見した市教委は、「回答を見れば、いじめに気づき自殺を防げた可能性がある」と認めた。女子生徒の父親も公表したコメントの中で「アンケートに託した娘のシグナルを無視した」と学校側の対応を批判していた。
(中村尚徳)