平成28年3月11日付朝日新聞西部本社版夕刊
LINEでいじめ、遺族が第三者委要望 熊本・高1自殺
「LINE」の書き込みなどでいじめを受けていた熊本県立高校1年の女子生徒(当時15)が2013年に自殺した問題で、遺族は11日、学校が設置した調査委員会の委員構成や結論を不服として、「いじめ防止対策推進法」に基づく第三者委員会の設置を求める意見書を知事宛てに送った。
遺族は意見書で、加害生徒と学校を相手取り、損害賠償を求めて近く提訴する意向も明らかにした。
学校の調査委(委員長=園部博範崇城大准教授)は今年2月、女子生徒へのいじめがあったことを認定したうえで、「いじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」との報告書をまとめ、公表した。
意見書では、学校調査委のメンバーに校長ら調査対象者が含まれていたことから「公平中立な調査が行われたと捉えることはできない」と批判。遺族が希望した友人への聞き取りが行われないなど関係者への調査も不十分で「何があったか知りたいという遺族の思いに応えていない」とした。
さらに「調査で明らかになった各いじめ行為や学校の対応の不適切さ、寮でのいじめを誘発する環境を作っていた事実を総合評価すれば、これら複数の要因が相まって自死するに至ったと評価すべきだ」と指摘。「いじめと自死との因果関係を否定する根拠は見いだせない」とした。
調査委は、女子生徒がいじめを含む寮生活を通じて「『うつの状態』に陥り、何らかの理由で自殺した可能性が高い」と判断。両親が寮生活をやめさせなかったことも「うつの状態」の一因とした。これに対し、女子生徒の母親(48)は「遺族からすれば傷つけられるような内容だった。第三者委には公正な調査をしてもらいたい」と話した。
県は今後、第三者委設置について判断する見通しだ。必要と判断された場合は、いじめ防止対策推進法に基づく県条例に沿って、大学教授や弁護士ら5人で構成される調査委員会が設けられる。
(籏智広太)