平成28年4月29日 朝日新聞青森版

元同級生ら、女子生徒思う 八戸北高生死亡問題

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女子生徒が気に入っていたというクマのぬいぐるみを手にする幼なじみ=金沢市

  2014年7月に八戸北高校2年の女子生徒(当時17)が八戸沖で遺体で見つかり、両親がいじめによる自殺の可能性が高いと訴えている問題で、4月に新生活をスタートさせた友人たちは、今もそれぞれの場所で女子生徒のことを思っている。

 1年時の同級生(18)は県外の大学に入学した。下宿先には、高校の物理と英語の教科書を持ってきた。

ページの隅に、女子生徒が教科書を借りた時に書いたクマの落書きが残っているからだ。

 仲良くなったのは、高校入学後1、2カ月してから。昼食を食べる時、女子生徒がグループの輪の中にいるのに無視されていることに気づき、「大丈夫だよ」と声をかけた。その後、好きな歌手の話で盛り上がり、女子生徒が手作りのお菓子を持ってきてくれたこともあったという。

 亡くなったのを知ったのは、2年時の全校集会だった。保健室で泣いた。今もふと思い出すことがある。

「(女子生徒が)ここにいたら何を話したかな」

 昨春に大学に進学した1歳上の幼なじみ(19)は、金沢市で一人暮らしをしている。部屋のベッドの上には女子生徒のクマのぬいぐるみがある。「見る度に『この色かわいいでしょ』と笑っていた彼女の顔を思い出す」

 別の高校だったが、一緒に勉強したり出かけたりした。異変に気付いたのは13年の初冬。一緒にお風呂に入ろうとしたら、女子生徒はあばら骨が浮くほど痩せていた。理由を尋ねると、「学校で友達とうまくいっていなくて。他の人には言わないでね」とつぶやくように悩みを打ち明けた。

 女子生徒が亡くなり、自分を責めたという。「あの時もっと話を聞いて、(その後も)真剣に接してあげていれば」。亡くなってから1年ほどは、名前を聞くだけでつらかったという。

 だが、今は大学の仲間に女子生徒のことを話せるようになった。「彼女は今でも大きな存在。ちゃんと向き合っていくべきだと気づいた」

 別の高校に通う1歳下の幼なじみ(17)は、今でも亡くなったことが信じられないという。自分が高校に合格したとき、女子生徒は「すごい、すごい」と喜んでくれた。通学時によく一緒になり、お互いの学校行事や恋愛の話をした。

 女子生徒がいじめを受けていたと知ったのは、亡くなってからだった。「一緒に怒ってくれる仲間も欲しかっただろうし、誰かに気づいてほしいと思っただろうな」。でも、女子生徒が自分の前で明るくしていた理由も想像できるという。「後輩の前で弱いところは見せたくない。『お姉さん』でいたかったんだと思う」 緊張する実習などの前には、女子生徒宅の仏壇の前で報告する。「絶対励ましてくれるだろうなと思って。

力をもらえる」(榎本瑞希)

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