東広島の中2自殺 市が威圧的指導認め遺族と和解

2023年3月3日付中国新聞

広島地方裁判所

2012年に東広島市立中2年男子生徒=当時(14)=が自殺したのは教員の不適切な指導が原因として、両親が市などに約1億1700万円の損害賠償などを求めた訴訟は3日、広島地裁で和解が成立した。市は暴力的指導などを認めて謝罪し、学校での「指導死」の再発防止に努める。

和解条項は、市が大声での威圧的指導や机を蹴る暴力的指導があったことを認め、謝罪する▽指導で児童・生徒が自死に追い詰められないよう、教員研修などで再発防止に努める▽遺族に和解金1千万円を支払う―など14項目からなる。

訴状などによると、生徒は1年生の時から複数の教員による日常的な指導を受けていた。12年10月の自殺当日、休み時間に美術教材のカボチャを廊下に置いたことをきっかけに教員4人から相次いで指導され、所属していた野球部の練習参加も禁じられた。生徒は下校後、学校近くの公園で自ら命を絶った。

市教委が設けた外部委員6人による調査委員会は13年9月に「自殺に至った背景にはさまざまな事情などが複雑に関係し、一部だけを決定的要因と特定するのは困難」などとする報告書をまとめた。遺族は15年6月、不適切な指導など「学校側が安全配慮義務を怠ったことが自殺の原因」として提訴。23年1月に広島地裁が和解案を示していた。(教蓮孝匡)

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