東広島・中2自殺:「厳しい叱責が追い詰めた」 両親「指導死」問題提起 地裁、訴訟初弁論 /広島

毎日新聞 2015年09月19日 地方版

東広島市の中学2年の男子生徒(当時14歳)が教員らに叱責された後に自殺した問題で、男子生徒の両親が「不適切な指導で追い詰められ、安全配慮義務違反があった」として、市などを相手に計約1億1700万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、広島地裁(龍見昇裁判長)であった。

訴状などによると、2012年10月、男子生徒は友人を笑わせるために授業で使うカボチャを廊下に置いたところ、4人の教師らが相次いで叱責。別の日にもプリントへの落書きをとがめられ、何度も反省文を書くなど授業を受けさせてもらえない「特別な指導」があったとしている。また独立行政法人・日本スポーツ振興センターに対して、適切な額の災害給付金が支払われていないとした。

意見陳述した男子生徒の父(46)が「大事に育ててきた一人息子が14歳で命を絶ったことは、あまりにもつらく悲しい」と訴えたのに対し、市とスポーツ振興センター側は請求棄却を求めた。

「息子はなぜそこまで追い詰められたのでしょうか」。意見陳述で父は涙で言葉を詰まらせた。両親は学校や市教委から十分な情報開示もなく、裁判は苦渋の決断だったと述べた。

男子生徒は自殺の当日、教師らから厳しく指導され、所属する野球部の顧問からは「部活をする資格はない」と机をけとばして怒鳴られたという。両親は男子生徒はプロ野球選手になるのが夢だったと明かし、「学校活動の支えだった部活動を奪われ、息子の自尊心は傷つき、絶望を感じ、限界に達したのではないか」と指導法に疑問を投げかけた。

最近では、不適切な生徒指導で子供が自殺した事案に対し、「指導死」という言葉も広まりつつある。

この日傍聴した「『指導死』親の会」の代表世話人で、学校の指導直後に中学生の次男が命を絶った大貫隆志さん(58)は「平成以降、報道されているだけでも約60件の指導死があった」と指摘する。うち8割以上が肉体的暴力を伴わない暴言などによるものだとし、「教育現場ではごく当たり前と思われている指導で、子供が追い詰められているという事実をまずは知ってほしい」と訴えた。【石川将来、高橋咲子】
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東広島市側争う姿勢
中2自殺原告側「真実明らかに」

2012年に東広島市の市立中学2年の男子生徒
(当時14歳)が自殺しだのは教員らが適切な配慮を怠ったためとして、両親が市などに約1億1700万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、地裁(龍見昇裁判長)であった。原告側は「教員の不適切な『指導』の結果、生徒が自殺に追い込まれた」と主張。市側は「『指導』内容が明らかでない」と反論、請求の棄却を求めた。原告側の意見陳述で、生徒の父親(46)は「息子がなぜ自殺するまで追いつめられたのかを、(市教委が設置した第三者による)調査委員会は明らかにしていない」と述べ、調査委が生徒や教員らに行ったアンケート結果の開示を求めた。これに対し、市側は「検討する」とした。
弁論後に広島市中区の広島弁護士会館で記者会見し
た生徒の母親(49)は「息子は今でも家族にかけがえのない存在。真実を明らかにしてほしい」と訴えた。訴状によると、生徒は12年10月29日、言動を巡って教員4人の指導を受け、・野球部の練習参加も禁じられ、下校後に公園で自殺した。両親は教員が安全配慮義務に違反したとしている。
2015年9月19日 読売新聞
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東広島市などが請求棄却求める
中2自殺提訴で初弁論

息子が自殺したのは学校側が安全配慮義務を怠ったのが原因などとして、東広島市の中学2年男子生徒=当時(14)=を亡くした両親
が、市などに計約1億1700万円の損害賠償と死亡見舞金の適切な支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、広島地裁であった。
被告側は請求棄却を求めた。両親は意見陳述で、真実を知るため提訴に踏み切った思いを述べた。
市は、教員の指導が不適切だったとする両親側の訴えに対し「教員の指導について正確な定義、具体的な事実の主張をしてもらった
上で認否をする」などと書いた準備書面を提出した。
意見陳述した母親(50)は「前を向いて一歩を踏み出すためにもこの裁判は最も大切だ」と強調。父親(46)は「学校で起きた事実の全
貌、不適切な言動で息子を自死へと追い詰めた教員たちの責任を裁判で明らかにしてほしい」と涙ながらに訴えた。
訴状などによると、生徒は1年生の時から、複数の教員から厳しい指導を繰り返し受けた。自殺当日の2012年10月29日、休憩時
間に美術の教材のカボチャで遊んでいたことを理由に教員4人から指導を受け、所属していた野球部の練習参加も禁じられた。精神的
に追い詰められた生徒は、下校後に学校近くの公園で自殺した。
2015年9月19日 中国新聞
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賠償請求の棄却東広島市求める

中2自殺提訴

男子生徒(当時14)が2012年に教師らの指導後に自殺した問題で、両親が同市などを相手取り、損害賠償
などを求めた裁判の第1回口頭弁論が18日、広島地裁(龍見昇裁判長)であった。
東広島市など被告側は答弁書で請求の棄却を求め、争う姿勢。同市は、棄却を求める理由は、今後の準備
書面に盛り込むとした。
両親側は、教師らは生徒に過度の精神的負担を与えたうえ、保護者への連絡など適切な配慮をせず、自殺
に至らせたと主張。約工億300万円の損害賠償と140び万円の共済給付を求めている。父親(46)は意見
陳述で「学校で起きた事実と教員らの責任を明らかにしてほしい」と述べた。
2015年9月19日 朝日新聞(清水康志)

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