東広島・中2自殺調査委報告書
「生徒、逃げ場失った」 委員長、不十分な教師連携など指摘

東広島市の市立中学2年の男子生徒(当時14歳)が昨年10月に自殺した問題で、市教委が設置した調査委員会が報告書の概要を公表した4日、委員長を務めた吉中信人・広島大教授(刑事法・刑事政策)は、教師たちの指導と自殺の関連を認めた上で、 「生徒の死を風化させることなく、このような悲しいことが二度と起こらないことを願う」と話した。
調査委は昨年12月から今年5月まで計9回の会合(非公開)を開き、教員や生徒、遺族らへの聞き取りやアンケート結果などを基に自殺の要因を調べてきた。
報告書などによると、生徒は昨年10月29日午後、美術で使うため他の生徒が持ってきたカボチャを廊下に置いて遊んでいて担任や所属する野球部顧問ら教師4人から指導を受けた。
調査委は「自殺の決定的要因の特定は困難」とした上で、生徒の特性や心情を理解した指導や、全教師による組織的な対応、教師間の連携などが不十分だったと指摘。吉中委員長は会見で「教師らの指導を受け、生徒は逃げ場を失った」と述べた。
教師の指導が原因で児童・生徒が自殺に追い込まれるケースは「指導死」と呼ばれる。今回のケースが指導死に当たるかどうかについて、吉中委員長は「言葉の定義が確立していない」として明言を避けたが、「指導死」親の会代表世話人・大貫隆志さん(56)(東京)は「複数の教師が相次いで指導して生徒を追い詰めており、典型的な指導死のパターンだ」と語った。
報告書を読んだ生徒の父(44)は「息子は指導を受けていた際、涙を流して自殺をほのめかしている。」と話した。
一方で「報告書は、教員と生徒の証言に食い違いがあるなど事実確認が不十分で、教師たちの責任逃れのような記述が多い」などと批判し、今後、市教委ではなく、市に再調査を求めていくという。
(小宮宏祐)読売新聞2013年9月5日
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昨秋東広島で中2自殺 調査委「指導と関係」

広島県東広島市立中学の2年生の男子生徒が昨年10月に自殺した問題を調べていた市教委の調査委員会は4日「直前の教師からの指導と自殺との間に因果関係が認められる」とする報告書をまとめ、木村清教育長に提出した。
記者会見した調査委委員長の吉中信人・広島大学大学院教授(刑事法)によると、昨年10月29日、男子生徒が休み時間に、他の生徒が美術の授業のために持参したカボチャで遊んでいたため、複数の教師が指導した。さらに、返答が良くないとして厳しい言葉で指導し、部活への参加禁止を告げて下校させた。生徒はその途中に自殺した。
調査委は、関係者へのアンケートなどをもとに自殺に至る経緯を分析し、報告書を作成。報告書は遺族の意向で非公開とされた。
吉中委員長は「様々な事情が複雑に関係し、一部だけが決定的な要因と特定することは困難。だが、自殺と指導に関連性があるのは明らか」と結論づけた。
(中崎太郎)朝日新聞(2013年9月5日)

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