平成29年5月24日朝日新聞鹿児島版

「いじめ放置」と市を提訴 中2生徒の遺族

 鹿児島いじめ

提訴後に会見する中村幹年さん=鹿児島市易居町の県弁護士会館

  出水市で2011年に自殺した市立中2年の女子生徒(当時13)の遺族が23日、学校がいじめの対策を取らず、情報開示もしなかったために真相を知ることができず精神的苦痛を受けたなどとして、市に1200万円の損害賠償を求めて鹿児島地裁に提訴した。

 訴状などによると、女子生徒は11年9月、出水市内の九州新幹線の跨線橋から飛び降りて死亡した。学校は全校生徒を対象にいじめの有無を調べるアンケートを実施し、市教委は回答結果などをもとに「(自殺の)直接のきっかけとなる出来事は確認できなかった」と結論づけた。

 遺族は市の情報公開条例に基づいて12年9月、14年2月にアンケート結果の開示を求めたが不開示とされ、遺族が開示を求めて提訴。15年12月に鹿児島地裁が結果の一部の開示を市に命令した。その回答のなかにいじめをうかがわせる複数の記述があったとして、遺族が市教委に再調査を求めた。

 しかし、市教委が再調査に応じなかったため、自殺といじめの因果関係を明らかにするために提訴に踏み切ったという。

 出水市教委は「訴状が届いていないので、コメントできる状況にない」としている。

■「不手際、謝罪してほしい」祖父

 「私の孫が命を懸けて訴えたかったこと、なぜ死ななければいけなかったかを、少しでも知りたい」 自殺した女子生徒の祖父、中村幹年さん(67)=出水市=は23日、鹿児島市の県弁護士会館で会見し、提訴に込めた思いを声を詰まらせながら語った。

 市教委は事件後、生徒の自殺といじめとの因果関係には触れなかった。しかし、全校生徒を対象に実施され、開示に約3年4カ月かかったアンケート結果には「ノートがなくなったという事件があった」「『きもい』と言われているところを見た」など、いじめをうかがわせる記述があった。開示後に市教委に再調査を求めたり、質問状を出したりしたが、いずれも応じなかったという。

 「こんなにも苦しんで学校に通学していたのかと涙が出た。もう少し早く学校が教えてくれたら、こういうことにならなかった」と中村さん。女子生徒がいじめを受けていたことを学校側は把握できたはずで、いじめを防がなかった義務違反が自殺につながったと指摘する。

 「『不手際がありました』と謝罪してもらいたい」。中村さんは力を込めて話した。

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