平成30年5月21日付毎日新聞

「真実明らかにして」第三者委が初会合へ

大島商船調査委1

学生の自殺を巡り、いじめの有無を調査する第三者委員会が立ち上がった大島商船高専=山口県周防大島町で2018年5月17日午後0時21分、真栄平研撮影

大島商船高専(山口県周防大島町)で2016年5月、1年生の男子学生(当時15歳)が自殺した問題で、校内でのいじめが原因ではないかとの遺族側の指摘を受けて設置された第三者委員会が6月10日、初会合を開く。「自殺原因は不明」と結論付けた学校側に対し、男子学生の母親は粘り強く外部調査を求めてきた。男子学生が亡くなってから丸2年。

関係者の記憶の風化も懸念されるが、母親は「やっとここまでこぎつけた。真実を明らかにしてほしい」と原因究明に期待を寄せる。【真栄平研】

学校などによると、男子学生は16年5月21日未明、生活していた校内の寮を抜けだし、校舎から飛び降りて死亡した。遺書は見つかっていない。

遺族が調査を求め、学校側も同級生への聞き取り調査やアンケートを実施したが、昨年6月までに「いじめはなく、自殺原因は不明」と結論付けた。遺族側は、学生への聞き取りの範囲など調査が不十分だったとして昨年12月、代理人弁護士を通じて第三者委設置を求めて要望書を提出。学校側が委員の人選などを進め、3月末に設置した。

代理人弁護士によると、第三者委は県外の弁護士2人と大学教員の計3人で構成。自殺につながるいじめの有無や、当時の学校側の態勢▽自殺後の学校側の対応のあり方--などが論点となる見込みだ。

母親は三回忌を前に「息子の学校生活、寮生活が全く分からないため、どんな状況下で生活していたのか、何があの子の身に起こっていたのか、自殺に追い込まれた背景など、全てを知りたい」と思いを打ち明けた。

大島商船高専を巡っては、亡くなった学生と寮で同室だった同級生の男子学生が自殺後にいじめを受けた可能性があり、昨年末から別の第三者委が調査する異例の事態となっている。亡くなった生徒の母親は「息子の時にきちんと対応していたら、ここまで深刻化しなかったのでは。学校側は、子供の命を、あまりにも軽視している気がしてしまう」と疑問を投げかける。

同校の井手克美総務課長は取材に対し「調査がスムーズに進むように協力していく」と述べ、第三者委に調査を委ねる姿勢を示している。

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