2020年12月8日付朝日新聞宮城版

いじめ調査、3校68人分の回答改ざん 講師を懲戒免職

いじめ調査改ざん

記者会見で謝罪する仙台市教育委員会の担当者たち=2020年12月7日、仙台市青葉区、徳島慎也撮影

仙台市が毎年実施しているいじめの実態調査で、いじめを訴える児童の回答を改ざんしたなどとして、市教育委員会は7日、市立七北田小学校(泉区)の荒木武講師(48)を懲戒免職処分にしたと発表した。改ざんは確認できただけで3校ののべ68人分。市教委は私文書偽造の可能性があるとして、警察に相談する。

市教委によると、荒木講師は11月、自分が受け持っている児童33人のいじめ調査の回答のうち、のべ24人分を無断で書き換えたという。

2人については、調査用紙ではいじめられたことが「ある」に丸印があったのに、「ない」に書き換えていた。いじめが「つづいている」や、いじめをしたのは「おなじクラスの人」などとした丸印も消していた。

さらに22人分について、学校がいじめ防止にしっかり取り組んでいるか聞く設問で、「すこしおもう」や「あまりおもわない」の回答を「おもう」にするなど、学校の対応をより高く評価する選択肢に書き換えていたという。

11月中旬、いじめを訴える児童の保護者との面談で、荒木講師が示した回答用紙と食い違っていることが判明。保護者が回答の控えを持っていたことから、改ざんが発覚したという。

市教委の調査に対して、荒木講師は2016、18、19の各年度にも、勤務先のそれぞれの学校で同様の改ざんを認めた。18年度はのべ28人分、19年度はのべ16人分の改ざんが確認されたという。16年度は用紙が破棄され、内容を確認できなかった。

荒木講師は臨時的任用職員で、「常に評価を上げなければ、将来の任用に影響すると考えた」と説明したという。

11年の大津市の中学生の自殺を機に、仙台市も13年にいじめ調査を始めた。子どもたちの声を拾い上げるためで、毎年11月に市内全域の小中高校などを対象に実施している。

市内では14年以降に中学生の自殺が相次いだ。市教委の谷田至史・教育人事部長は記者会見で、「いじめの未然防止と早期対応に努めてきたなか、書き換えが判明した。児童、保護者の皆さまに迷惑をおかけし、不安を生じさせ、心からおわび申しあげます」と謝罪した。

学校への信頼→失望感に

「驚きと戸惑いが一番。裏切られた気持ちです」。7日夕、七北田小に通う娘を持つ40代女性は、ため息をついた。学校からの保護者向けメールで、いじめ調査の改ざんを知ったという。

娘は学校で同級生から言葉の嫌がらせを受け、しばらく悩んでいたことがあった。「先生は味方だ。何かあったら守るからね」。そう言ってくれた担任に打ち明け、担任は何度も話を聞いて見守ってくれていたという。女性よりも先に担任に相談することもあったといい、「身近にいる先生は、子どもが一番最初に頼る存在なんだ」と学校に信頼を寄せていた。親子で感謝している

だけに、今回の件には失望感が募る。

「今後、子どもが先生に話せなくなって、つらいことを抱えてしまわないだろうか」。気がかりなのは子どもの心情だ。まだ娘は、事情を知らない。「親以上にショックを受けるはず。家に帰ったら、娘になんて伝えようか……」。そう声を落とした。

一方、七北田小の菅原邦子校長は取材に対し「信頼を損ねる非常に重大な事案。子どもたちと保護者に、大変申し訳ない」と陳謝した。いじめ問題は「子供の学校生活を守るためにきちんと把握して支援や指導をしていかなければいけないもの」という認識で取り組んできたという。

8日に全校放送で臨時集会を開き、問題の経緯や今後の対応について説明する予定で、後日、臨時の保護者会も開く。「市教委の指導も受けながら、より良い管理方法を考えていきたい。

きちんと説明とおわびを申し上げ、信頼回復に努めたい」と話した。(徳島慎也、大宮慎次朗、近藤咲子)

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