平成30年11月15日付NHK首都圏ニュース
中学生死亡「いじめ原因は困難」
3年前、東京・青梅市で中学1年生の男子生徒が橋から落ちて死亡したことについて調査していた第三者委員会の報告書が14日公表され、いじめがあったことを認めた一方で、死亡した主な原因がいじめだと認めるのは困難だと結論づけました。 3年前の平成27年8月、青梅市内の中学1年生の男子生徒が多摩川にかかる橋から河川敷に落ちて死亡しました。 これについて、青梅市の教育委員会が設置した第三者委員会の報告書が14日公表され、この中で容姿について悪口を言われたり、教科書やノートが階段に置かれたりするなどのいじめが確認されたとしています。 その一方で、いじめが心に負担をかけたものの、死亡した主な原因がいじめだと認めるのは困難だと結論づけています。 この問題について教育委員会は「重大事態」として認識せず、遺族からの申し入れを受けて死亡から2年近くたって第三者委員会による調査を始めており、こうした対応について報告書では「極めて重大な問題がある」と指摘しています。 14日の記者会見で青梅市の岡田芳典教育長は「いじめを一過性で軽微なものととらえていたため、重大事態として捉えるべきところを見誤った。第三者委員会の設置などにたいへん時間がかかり、ご遺族や関係者につらい思いをさせてしまったことに深くおわびしたい」と謝罪しました。 調査の報告書は15日から市のホームページでも公表されるほか、市の教育委員会で閲覧できるということです。 第三者委員会の報告書について、亡くなった生徒の遺族が、文書によるコメントを出しました。 この中で、遺族は「息子の死亡についていじめが主要な原因であると認定することは困難だとされたことには、不満が残ります」としています。 一方で、「いじめの存在が認定されていることや、中学校と教育委員会の対応に問題があったことが認定されていることについては、評価したいと思います」としています。 そのうえで「報告書が公表されることでいじめが無くなることに少しでも役立てればと思います。いじめられた子ども、保護者の声を真摯に受け止め、積極的に声を聞き、皆で考えていくような機会・場所が与えられるよう望みます」としています。