2021年3月22日付朝日新聞

児童に暴行、担任が誘導か 「やっちゃいな」と呼び掛け

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秋田市の小学校で起きた不適切な指導について説明する市教委の担当者ら=2021年3月22日午後4時12分、秋田市役所、高橋杏璃撮影

 秋田市の小学校で今月、3年生の学級担任の50代の女性教諭がクラスの複数の児童に対して、特定の児童をたたくよう誘導する発言をしていたことが22日、市教育委員会への取材で分かった。学校の調査に対し、教諭は事実関係を認めているという。

市教委によると、教諭は今年3月、昼休みの鬼ごっこで児童間のトラブルがあった際、数人の男子児童に「やっちゃいな」などと呼びかけ、トラブルの原因となった男子児童をたたくよう誘導。複数の児童らはこの男子児童の腹部を1回ずつたたいた。また、学校が児童から聞き取った証言では、教諭が「私がたたくと退職になっちゃうから代わりにやれ」と発言したほか、女子児童が暴力に反対した際に、「この子は殴られないと覚えないから」と言ったとされる。教諭はこれらの発言については「覚えていない」と学校に説明しているという。

また、市教委によると、昨年5月ごろ、教諭は児童らに「好きな人や嫌いな人はいるか」と尋ね、嫌いな人として名前があがった2人の児童に「これが現状だ。これからはみんなに好かれるように頑張らないといけないよ」と発言。発達障害が疑われる転校生の児童に対し、「前の学校の子たちもあなたがいなくなって喜んでるでしょうね」と発言したことがあったという。このほか、欠席しがちな児童が映画を見に行った話をした際に、「映画を見に行くよりも、学校に来て勉強したら」と諭したこともあったとされる。

保護者の有志6人が今月15日に来校し、被害を訴えて発覚。16日以降は、教頭など別の教員1人を同席させた上で、担任教諭が授業を続けた。教諭が勤務を続けたことについて、市教委は「こういう事案があったとはいえ、学級担任の仕事があるので優先させた」と説明している。

学校は19日に緊急保護者会を開き、担任教諭と校長が謝罪した。現時点で心身に不調をきたした児童は確認されていないという。教諭の処分は未定で、市教委が事故報告書を提出した後、県教委が決定する。(高橋杏璃、野城千穂)

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