令和元年6月13日付東京新聞

市教委職員、情報漏らす 川口いじめ 第三者に調査内容

埼玉県川口市の市立中学校の元男子生徒(16)がいじめで不登校になった問題で、市教育委員会の男性職員が元生徒にかかわる情報を第三者の女性に漏らしていたことが十二日、関係者への取材で分かった。職員は本紙の取材に対し、情報を伝えたことを認めており、有識者は「教育公務員として信じられない行為」と問題視している。元生徒は、市がいじめに対して適切に対処しなかったなどとして裁判を起こしている。

女性によると、女性は職員が市教育研究所副所長だった二〇一八年四~十月の間、自分の子どもについて頻繁に相談していた。同年十月に電話で相談している中で、職員が突然、「担当の件ではないが」と前置きし、元生徒側と市教委の間のトラブルについて話し始めたという。これらのやりとりは音声データに残されており、職員は「一生懸命調べた」と発言し、元生徒のいじめへの市教委の対応について報道されていることは間違いだという趣旨を伝えていた。

職員は当初、本紙の取材に「記憶にない。事実なら地方公務員法違反に該当する」との認識を示していた。その後、音声の中で自分の名前が出ている部分があることが分かると、情報を伝えたことを認め「現時点でコメントできない」とした。

元生徒の母親によると、職員が語った内容は「事実と違う」という。「その職員とはその時点まで話したこともない。わざわざ市教委内部で調べ、うそを第三者に告げていたのはショックだ。とても許せない。相当の処分を期待する」と話した。

教育評論家の尾木直樹さんは「市教委の職員としてあきれた行為。市民の教育行政への信頼を失墜させ、不信感を抱かせる。背景や原因を徹底的に調べ、今後、市民に知らせる必要がある」と指摘している。 (森雅貴)

 

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

Post Navigation