令和元年5月10日付北海道新聞

札幌高1自殺訴訟、母親が控訴 元顧問の責任否定に不服

2013年に札幌市の道立高校1年の男子生徒=当時(16)=が自殺したのは、所属する吹奏楽部のトラブルで当時の男性顧問教諭から叱責(しっせき)されたのが原因として、生徒の母親(51)が道に損害賠償を求めた訴訟で、母親は9日、自殺に対する元顧問の責任を否定した一審札幌地裁判決を不服とし札幌高裁に控訴した。

4月25日の一審判決によると、13年1月に生徒と他の部員がメールのやりとりでトラブルになった際、元顧問は生徒だけを叱責した。同3月にも別の部員に対する生徒の発言をとがめ「部員に一切メールをしないこと」などを部に残る条件として要求。生徒は翌日に自殺した。

一審判決は、生徒のメールや発言の内容から「指導の必要があり、方法も違法ではない」と判断。自殺との因果関係も認めず「元顧問に法的責任はない」とした。一方で高校が自殺の原因を調べた在校生アンケートを保管期限前に廃棄したことについて「遺族に苦痛を与えた」と認定し、高校を設置する道に110万円の賠償を命じた。

母親は取材に対し「元顧問の言動を正当化する判決は受け入れられない。指導の範囲を超えた違法な行為だとあらためて訴えたい」と述べた。道教委は「控訴状を確認しておらずコメントは差し控える」とした。(松下文音、中秋良太)

 

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

Post Navigation