【11月4日付 朝日新聞】

男子生徒の出棺を見届ける参列者=3日午後、名古屋市内、細川卓撮影

名古屋市西区の市立中学校1年の男子生徒(12)が「いじめが多かった」という遺書を残し自殺した問題で、市教育委員会は3日、臨時会を開いた。「いじめが大変疑われる」(梶田知委員長)として部活動を中心に調査を徹底する方針を決めた。
生徒は1日午後4時ごろ、同区の地下鉄鶴舞線の庄内通駅でホームから飛び込み、電車にはねられて亡くなった。市教委は、男子生徒が属していた卓球部の顧問や部員、親しい同級生らから聞き取りを始めた。今後、全校生徒を対象に無記名のアンケートも実施する考えだ。
市教委によると、遺書には「学校や部活でいじめが多かった。部活で『弱いな』と言われていた」などと書かれていた。
同校の生徒によると、卓球部では上級生が特定の下級生にグラウンドを何周も走らせることもあった。
学校もこうした問題を把握し、上級生に注意していた。卓球部員は約80人。市教委のこれまでの聞き取りでは、男子生徒へのいじめの事実は確認できていないという。
3日には男子生徒の告別式があり、同級生や保護者らが参列。参列者によると、生徒の幼少時からの写真をまとめた映像が流れ、父親が「優しくまじめな子だった」とあいさつしたという。参列した校長は「できるだけ早く、正確に情報を集めたい」と話した。

■「二度と同じことが起きないように」
「きちょうめんでまじめで優しい、自慢できる息子でした」。男子生徒の父親が3日、朝日新聞の取材に応じた。いじめられている様子には気づかなかったといい、「親として察知してあげなくてはいけなかった」と声を震わせた。
父親の話などによると、男子生徒は自殺した1日昼、両親と3人で外食した。「大盛りのご飯とおかずをぺろりと平らげた」という。帰宅した生徒は、ノートを持って1階と2階を何度も行き来し、祖母に「付箋をちょうだい」と言ったという。
その後、祖母からお小遣いをもらい、「ドーナツを買いに行く」と1人で出かけた。その様子を不審に思った祖母が生徒の自室を調べ、机の引き出しからノートを見つけた。付箋をはったページに遺書が書かれていた。「早く見つけてほしかったんでしょう」 父親が携帯電話のGPS機能で調べると、市営地下鉄の庄内通駅が表示された。父親が電話すると、生徒は「おなかが痛くなって地下鉄のトイレにいる」と答えた。電話からは、ホームに流れるアナウンスが聞こえる。ホームにトイレはないのでおかしいと思い、「どうしたんだ?」と尋ねると、「大丈夫、大丈夫。(遺書は)冗談」と答えたという。
その声はいつもと変わりなく、「演技できるような子ではない。言葉通り大丈夫でいてほしいと思ったのですが……。間に合わなかった」。父親が駅に向かうと、救急車などで周辺は騒然としていた。
父親は「犯人捜しではなく、どういう過程でこうなってしまったのか、突き止めてほしい。二度と同じことが起きないように調べ、役立ててほしい」と語った。(安仁周)
——————————————————————————–
【NHK】

[b]名古屋 中学生自殺 第三者機関に調査依頼へ[/b]
今月1日、名古屋市の男子中学生がいじめを受けたと書かれた遺書を残して自殺したことを受けて、市の教育委員会は今後、弁護士や有識者などで作る第三者機関にも調査を依頼し、生徒が自殺に至った経緯を解明したいとしています。
今月1日、名古屋市西区の地下鉄の駅で近くに住む12歳の中学1年の男子生徒が電車にはねられて死亡し、生徒の自宅の部屋から「学校や部活でいじめが多かった。もう耐えられない」などと書かれた遺書が見つかったことから、警察や名古屋市教育委員会は生徒が自殺したものとみています。
教育委員会は、これまでのところ自殺につながる兆候は確認できていないとしていて、引き続き教員や生徒から話を聴くなどして、いじめがあったかどうかの調査を進めることにしています。
一方で名古屋市は、おととしのいじめ防止対策推進法の施行に伴って、去年から弁護士や有識者などで作る第三者機関の「いじめ対策検討会議」を設置しています。
この機関は、いじめが疑われるケースが起きた場合、教育委員会からの依頼を受けて、いじめの有無や教育委員会の対応が十分だったかどうかなどを客観的な立場から調べて提言することになっています。
名古屋市教育委員会は今後、この機関にも依頼して、生徒が自殺に至った経緯を解明したいとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151104/k10010293331000.html
——————————————————————————–
【読売新聞愛知版】

[b]中1自殺 徹底した調査を指示[/b]

名古屋市西区の市立中学校1年の男子生徒(12)が、いじめられたことをほのめかす遺書を残して自殺した問題を受け、市教育委員会は3日、臨時会を開き、梶田知(さとる)委員長が市教委事務局に対し、できるだけ早く全校生徒に徹底した調査を行うよう指示した。
臨時会は非公開で行われ、市教委事務局によると、委員からは「男子生徒のメモからは、いじめがあったことが強く疑われる」「全生徒に聞き取り調査を行うべきだ」などの意見が出た。また、「他の生徒の心のケアをきちんと行う必要がある」との指摘も出たことから、男子生徒が通っていた中学校に当面、スクールカウンセラーを毎日配置することを決めた。

「優しい息子だった」 自殺中1の父親

名古屋市西区の市立中学校1年の男子生徒(12)がいじめに遭ったことをほのめかす遺書を残して自殺した問題で、男子生徒の父親が3日、読売新聞の取材に応じ、「真面目で優しい自慢の息子だった」と沈痛な表情で語った。その上で、学校側に対しては「どうしてこういう結果になってしまったのか、過程を調べてほしい」と要望した。
「心にたまっていたものが爆発してしまったのか。何も言わなかった。察知できなかったのは、親として
失格なのかなと思う」。父親は、そう心情を吐露した。
男子生徒が亡くなった1日昼は家族で外食したが、その時は食欲もあり、元気な様子だったという。
男子生徒が外出後、遺書が見つかったため、携帯電話で「大丈夫か」と尋ねると、「冗談冗談、うそうそ」という言葉が返ってきた。携帯の全地球測位システム(GPS)で市営地下鉄庄内通駅を特定、妻と車で向かったが、男子生徒は電車にはねられた後だった。
同級生らからはメッセージカードが届き、そこに書かれた「お弁当を忘れた子に、半分分けてあげた」「鼻血を出した子がいたら、ティッシュを渡した」などのエピソードを読んで、「優しい子だったんだ」と改めて実感したという。
「犯人捜しというようなことは望んでいない。息子は戻ってこないので、調査した結果を活用し、また同じような被害が出ないようにしてほしい」。父親は悲しみをこらえながら、丁寧な口調で語った。
告別式同級生ら涙 この日は、男子生徒の告別式が西区内の斎場で営まれ、親族や友人らが早すぎる死を悼んだ。参列者の話によると、式では男子生徒の幼い頃から最近までの映像が流された。父親が「とても真面目で優しくて、家族の中で一番できる子だった」と声を詰まらせながら語ると、すすり泣く声が漏れたという。同級生らは一人ひとり、ひつぎに折り鶴を入れて別れを告げ、出棺の際には手を合わせて見送った。顔を覆って泣く女子生徒の姿も目立った。
同じ中学校の3年女子生徒は「顔を見て、本当に亡くなったんだと思った。悲しくてやりきれない思いでいっぱい」と声を落とした。
一方、男子生徒の中学校の校長は、これまでに同級生や同じ卓球部の計9人から話を聞いたことを明らかにした上で、「今の時点でいじめにつながる話は出てきていない」と述べた。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

Post Navigation