【11月3日付 朝日新聞】

名古屋市西区で1日、同区に住む市立中学校1年の男子生徒(12)が地下鉄の駅で電車に飛び込み自殺した問題で、同市教育委員会は2日、生徒がいじめを苦にしていた可能性があるとみて同級生らから聞き取りを始めた。「学校や部活でいじめが多かった。もう耐えられない」と書かれた遺書が自宅から見つかった。学校は「いじめは把握していなかった」としている。
生徒が通っていた中学校は2日朝、全校集会を開いた。校長によると、1年生らは「泣き崩れるほど悲しんでいた」という。校長は取材に、「いじめられていたという遺書があり、これほど悲しいことはない」としつつ、「いじめは確認できていない」と述べた。入学以来、欠席はなく、卓球部に所属していた。
学校は2カ月に1回、本人や周囲の人が嫌な思いをしていないか聞く全校アンケートをしている。
直近は9月。この生徒は、学校生活の満足度を4段階で聞く質問に対し、上から2番目の「3」を選び、理由を「卓球ができるから」と書いていた。他の生徒の回答でも、この生徒がいじめられていたという記載はなかったという。
市教委や愛知県警によると、自室の机の中に、付箋のついたノートがあり、そのページを開くと「部活で『弱いな』と言われていた。もう耐えられない。だから自殺しました」と書かれていた。
いじめた人を特定する記述はなかった。
生徒は1日、家族と昼食をとった後、午後3時過ぎに「ドーナツを買いに行く」と言って1人で外出。
家族が自殺前に遺書を見つけ、携帯電話で「いじめ大丈夫か、お前」と聞くと、「大丈夫、大丈夫。冗談だ」と答えたという。午後4時ごろ、地下鉄鶴舞線の庄内通駅で電車にはねられ、間もなく死亡が確認された。
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【中日新聞】

対策途上の市に戸惑い 名古屋の中1、遺書「いじめ」

名古屋市西区で中学一年の男子生徒(12)が「いじめが多かった」などとの書き置きを残し、電車にはねられ死亡した。自殺に至るまでの詳細は分かっていないが、同市では二年前に中学生がいじめを苦に自殺し、市が再発防止を進めていた最中だった。市教委の関係者からは「どうすれば、子どもの悩みをすくい上げることができるのか」と戸惑いの声が上がる。
文部科学省によると、二〇一四年度に全国の学校が認知したいじめの件数は、前年度比1・2%増の十八万八千五十七件。うち、小学校は3・3%増の十二万二千七百二十一件、中学校は4・1%減の五万二千九百六十九件だった。
名古屋市立の学校では、小学校で前年度比二十八件減の千五十二件、中学校は百六十一件減の五百九十七件と、いずれも減少していた。
市内では一三年七月、南区の市立中学の男子生徒がいじめを苦に自殺。外部の有識者による検証委員会は一四年三月に「学校の組織的対応がなく、いじめに対する理解も不十分」などと、教育現場を厳しく批判した。
これを受け、市はいじめ防止の対策を強化。常勤のスクールカウンセラーらを配置する「なごや子ども応援委員会」を発足させ、拠点となる十一の中学校に設置したほか、非常勤のスクールカウンセラーも拡充した。
一四年度には、非常勤のカウンセラーが、児童生徒や保護者、教員を合わせて一万八千件超の相談に対応。教員向けの講習会なども開き、児童生徒の悩みを受け止めようと模索している。
学校ごとにいじめ防止基本方針も作成し、自殺した生徒が通っていた中学校も、年度当初の四月と夏休み期間中の八月を除き、ほぼ毎月、アンケートなどを実施。生徒の状況を把握するよう努めていた。
市教委の担当者は「しっかりと対策を進めている学校だった。ほかに、どのような方法があるのか、現段階では…」と悲痛な顔で話した。

いじめなどの悩み相談は、県の二十四時間窓口「子どもSOSほっとライン24」=0570078310
▽県警の悩みごと、困りごと相談「ヤングテレホン」=052(951)7867▽県警の犯罪、いじめ、虐待相談=(0120)786770=へ。 (北村剛史)
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【NHK】

中学生自殺 部活動の生徒からも聞き取りへ

1日、名古屋市の男子中学生が、いじめを受けていたことをほのめかす遺書を残して自殺したことを受けて、市の教育委員会は、同じ部活動に所属する生徒からも話を聞いて、いじめがあったかどうかの調査を進めることにしています。
1日名古屋市西区の市営地下鉄の駅で、近くに住む12歳の中学1年生の男子生徒がホームから転落して電車にはねられ死亡しました。警察は男子生徒の部屋から「学校や部活でいじめが多かった。もう耐えられない」などと、いじめを受けていたことをほのめかす遺書が見つかったことなどから自殺とみています。
名古屋市教育委員会は1日と2日、担任の教諭や部活動の顧問から聞き取りをしましたが、これまでのところ、明らかにいじめと判断できるような行為や自殺につながる兆候は確認できていないということです。
このため、教育委員会は、4日以降、聞き取りの対象を同じ部活動に所属する生徒に広げ、男子生徒がいじめと感じるようなトラブルなどがなかったかどうかも調べることにしています。
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【毎日新聞】
名古屋・中1自殺:家族「いじめ」把握せず

名古屋市西区の市営地下鉄庄内通駅で1日、同区の市立中1年の男子生徒が「いじめがあった」との遺書を残して電車にはねられ死亡した問題で、生徒の家族が県警に「いじめについて聞いたことはなく、自殺するそぶりもなかった」との趣旨の話をしていることが捜査関係者への取材で分かった。
市教委はいじめの有無を調査している。

◇同級生ら通夜参列
市教委によると、男子生徒は今春中学に入学。卓球部に所属し、学校にも休まず通学し、いじめの相談も無かった。同校が生徒を対象に2カ月に1回行っているアンケートで、男子生徒は9月、4段階の満足度調査に「3」と回答。その理由として「卓球ができる」と記述していた。自殺の動機について、顧問教諭らは「思い当たる節はない」と話しているという。
同じクラスの男子生徒(12)は「金曜日に会った時に悩んでいる様子はなかった。いろんな子と仲が良く、いじめられている感じはなかった」とショックを受けていた。小学6年で同じクラスだった男子生徒は「楽しそうに部活をしている印象だった」と話した。
2日夜には同区内の斎場で男子生徒の通夜が営まれた。中学の教職員や、保護者に付き添われた同級生らが参列して死を悼んだ。同級生の一人は「いままでありがとうと語りかけた」と涙を流しながら話した。【加藤沙波、谷口拓未、三上剛輝】

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