【11月29日付 朝日新聞東京本社版「声」】

[b][size=large]罰則科す指導法に実効性あるか[/size][/b]
元中学校教員 原昌弘(福岡県 56)

大阪市教委が来年度から導入する「学校安心ルール」という指導法に、大きな危惧を抱いている。
段階に応じて罰則を定めた行動規範を子供に示し、破ったら罰則を科す「ゼロトレランス」(寛容度ゼロ)という米国の生徒指導法がヒントだという。
日々解決策を模索している教員にとって、この指導法は一見、魅惑的だが、実効性はあるのか疑問だ。
例えば、問題生徒は別室で指導するという一項がある。私の勤め先では別室指導を拒み、学校に来なくなる子もいた。親からは「授業に出さないのは教育の放棄だ」と言われた。 一律に罰則を科したら、生徒との信頼関係が崩れ、根本的な解決にならない。また、出席停止にしたとしても、親が仕事を休んで我が子と向き合えるのかという問題もある。
画一的指導の危うさを学校現場は見抜かなければならない。そもそも教育に寛容度ゼロなどありえない。

[b][size=large]いじめは犯罪、罪と罰の教育を[/size][/b]
無職 小山透(山形県 63)

いじめが社会問題になってから、幾年が経過しただろうか。毎年のように子どもの自殺者が出る現状を見ると、学校だけに根本的な対処を求めることは、もはや限界になっているのではないか。
学校だけでなく、家庭や地域にも大きな期待はできない。そんな状況をみると、社会ぐるみで子どもたちに「いじめの内容によっては犯罪。罰せられる」とストレートに、しっかり教育していくことこそ、陰湿ないじめに対抗する唯一の方法ではなかろうか。
殴ったり、傷つけたりすれば暴行罪や傷害罪になる。脅せば脅迫罪になる。そう教え、実際にそういう行為をすれば、法に則してきちんと罰するべきだ。子どもだからといって甘くしてはならない。
「徒党を組んでいじめれば誰がやったか分からないし、自分の責任は軽くなる」「見て見ぬふりをする」といった態度に、けじめをつけたい。
とにかく、いじめで追い詰められた子どもが自分の命を絶つのは、とても悲しいことだ。命を守るために、「罪と罰」の教育が求められる。

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