平成28年3月13日中国新聞社より

自殺生徒に卒業証書
校長式辞「痛恨の極み」
府中町の中学

昨年12月、誤った万引記録に基づく進路指導の後に自殺した中学3年男子生徒=当時(15)=が通っていた広島県府中町立府中緑ヶ丘中で12日、卒業式が開かれ
た。生徒の遺族も出席した。学校側が用意した卒業証書を受け取った。坂元弘校長は式辞で「(生徒が)帰らぬ人となってしまったことは痛恨の極み。彼は今もここに
いて一緒に卒業していくと考える」と述べた。  (府中町進路指導問題取材班)

IMG_20160319_0008p

生徒の番クラス全員「はい」

卒業式に出席するため、府中緑ヶ丘中に向かう保護者たち 式には卒業生約220人と在校生、保護者たち計約750人が出席。学校側に
よると、同級生が遺影を持って入場し、全員が黙とう。生徒が座るはずだった席には遺影と制服が置かれた。
担任教諭は体調不良で欠席した。
卒業生は一人一人、名前を読み上げられ、生徒の順番では同じクラス全員が声をそろえ「はい」と返事した。クラスメートが無料通信アプリLINE(ライン)で意見を出し合い、全員での返事を決めたという。
両親は式後のホームルームに出席し父親が副担任から卒業証書を受け取った。
式後に記者会見した坂元校長は声を詰まらせて 「誠に申し訳ない。学校がきちんとしておけばこうならなかった」と謝罪。「原因をつくったのは学校。子どもたちが誇れる学校にする義務が職員にある」と語つた。
学校側が自殺を公表して以降、町教委や学校に対て抗議や批判の電話が損いだ。「式を妨害するとの趣旨の電話もあったため警祭官たち約40人が学校周辺を警戒した。

一緒に卒業したかった/彼の分まで頑張る

「一緒に卒業したかった」-。笑顔で巣立つはずだった卒業生たちは悲しみに包まれた。中3の男子生徒が自殺した府中緑ケ丘中であった12日の卒業式。学校への不信感を漏らす同級生もいた。
両親は級友たちに「息子を覚えていてね」と伝え、涙を流したという。
卒業式後、亡くなった生徒のクラスのホームルーム。級友や保護者によると、生徒の机は、級友がペンで直接書いたメッセージで埋まった。黒板の前ではクラス写真を撮影。その中心には笑顔の遺影があった。級友たちは両親に千羽鶴や寄せ書きを渡した。
同じクラスの男子生徒は「これまでありがとう。彼の思いを受け継ぎ、頑張るという気持ちで千羽鶴を折った。変わった様子はなかった。いなくてすごく寂しい」と語った。
別の男子生徒は「頭が良く、学で分からない部分を教えてもらったことがある。陸上部で部活も熱心だった」としのんだ。
別のクラスの3年男子生徒は「本当に彼は(担任との会話で)万引を否定しなかったのか。もっとやりとりがあったのではないか」と学校の調査への不信感を口にした。3年女子生徒は「ちゃんと確認してほしかったけど、先生たちも後悔していると思う」と複雑な表情で語った。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

Post Navigation