平成29年3月29日朝日新聞福島版

高2自殺「いじめと学校対応に原因」 第三者委

 会津高2

写真・図版

第三者委員会の報告書について語る神山敬章委員長(左)ら=福島市中町

  会津地方の県立高校の女子生徒が自殺した問題で、県が設置した第三者委員会「県いじめ問題調査委員会」(委員長・神山敬章明星大教授)は28日、約1年前の県教育委員会の調査結果を覆し、生徒へのいじめと自殺の因果関係を認めた。また、学校の不適切な対応も自殺の要因と認定し、再発防止を強く求めた。

 「一人の生徒の死を重く受け止め、二度とあってはならないということを我々は言い続けていかなければならない」。

第三者委の神山委員長は、報告書を県に提出した後の記者会見で、県や学校側などに再発防止を強く求めた。

 神山委員長が「厳しく判断した」とする報告書では、いじめに加え、学校側の不適切な対応も「大きな要因である」と指摘し、生徒の自殺の原因を幅広に認定した。

 2016年2月、県教委は「いじめと自殺の間には直接の因果関係が認定できない」とする調査結果を発表。それを不服とした生徒の両親の申し立てを受け、同年4月、第三者委の調査がスタートした。

 両親のほか、校長など教職員15人から改めて聞き取りを実施。生徒が通っていた主治医からカルテ情報の提供を受けるなどして調査を進めてきた。

 28日に発表された報告書では、生徒は吹奏楽部の上級生から練習中に無視されたり、廊下で一人だけ練習するよう命じられたりして、「うつ状態」になったとし、これらの厳しい指導をいじめと認定した。

 一方、欠席などが多くなった生徒について、学校側は学業の悩みが原因と考え、いじめに起因するものとは考えず、部顧問に対応が任され、組織的な対応はなかったとした。

 県教委の調査では、生徒の自殺の原因を、学業の悩みなど「様々な要因が考えられる」としていた。

 だが、第三者委は、生徒が主治医に対し、主に部活での悩みを相談していたことなどから、「うつ状態」になった主な原因は部活の上級生との関係にあると判断。いじめに加え、いじめとして扱わなかった学校の不適切な対応の2点が「自殺に追い込んだ大きな要因」と認定した。(小泉浩樹)

 

■「教育関係者 全員読んで」 報告書を受け女子生徒の両親が所感

 第三者委の報告書の発表を受け、女子生徒の両親が28日夕、福島市内で記者会見した。報告書について、

「私たちの思いを表現している」と評したうえで、「県内の教育関係者全員に読んでいただきたい」と訴える所感を

発表した。

 父親は「前回の報告書の結論で覚えた違和感は解消された」と語り、いじめと自殺の因果関係を認め、学校の

不適切対応を自殺の一因とした今回の報告書を評価する意向を示した。そのうえで、「報告書が出たことで娘が

帰ってくるわけではないが、これで前に進むと思った」と述べた。

 所感では、報告書が教師らによって活用されることを望んでいる点を強調。父親は時折、声を詰まらせながら

「事実関係を認識していただき、自分のクラスに娘のような子はいないか、加害者とされた上級生のような子は

いないか、同じような部活運営をしていないか、自分の周りを振り返ってほしい」と訴えた。

 また、父親は上級生に対しては「事実をしっかり振り返ってほしい。反省し、これからの生活をしていただきたい」

と語り、高校には「報告書を深く理解し、子どもたちの教育にあたってもらいたい」と語ったが、損害賠償請求など

法的措置に関しては「現段階では、その思いに至っていない」と述べた。

 第三者委の調査手法については、家族に対し、検討項目や調査結果などを説明しながら作業を進めた点を挙げ、

「委員会の進め方についても感謝したい」と語った。(戸松康雄)

 

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