平成29年10月25日河北新報
<仙台中学生自殺>あす半年 調査始まらず「専門委」の人選難航

仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が教諭から体罰を受けた上、いじめを訴えて自殺してから26日で半年がたつ。市教委の第三者機関「いじめ問題専門委員会」は人選が難航し、背景などの調査は始まっていない。真相究明の第一歩すら踏み出せないまま時間だけが過ぎ、遺族は市教委に不信感を募らせている。
24日あった市議会いじめ問題等対策調査特別委員会で、市教委は専門委の人選を巡って遺族が要求していた臨時委員3人のうち、難航していた1人の人選が決まったことを報告。さらに遺族の求めに応じ、4人目の委員を加える方向で調整していることを明らかにした。
ただ、半年がたっても調査のスタートラインすら見えない現状に、市議から「異常事態と言わざるを得ない」といら立ちや不満の声が上がった。
臨時委員の選定は紆余(うよ)曲折をたどった。遺族は当初、自死予防の相談団体など3団体からの推薦を求めたものの、市教委は「信頼性や専門性を担保するには、職能団体からの選出が望ましい」と難色を示した。
次善の策として、遺族は仙台弁護士会からの推薦を要望。選ばれた委員候補は遺族が求めた弁護士ではなかったが、今回委員に決まった。市教委は「弁護士会がふさわしい人物を選んだ」と説明。遺族は疑問を抱きつつ、心を痛めている。
2014年9月に泉区館中、16年2月に同区南中山中で発生した生徒の自殺では、ともに発生から約2カ月後に調査が始まった。折立中の事案にかかる準備期間の長さが際立つ。
大津市の中学2年の男子生徒が11年にいじめを苦に自殺したケースで、同市教委の第三者委の委員長を務めた横山厳弁護士(大阪弁護士会)は「遺族の要望はできるだけ受け入れるべきだ。遺族らと特別な利害関係がない限り、第三者の立場は十分に担保できる」と指摘している。

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