平成28年6月21日 中国新聞社朝刊

いじめ報告義務化検討
超党派議員 学校から保護者に

 いじめ防止対策推進法が21日、成立から3年を迎えるのを機に、いじめを把握した学校に対し、保護者や教育委員会への報告義務などを超党派の国会議員が検討することが分かった。同法は国や地方自治体、学校がいじめ防止に取り組む責務を定め、付則で施行後3年をめどに現場の状況を踏まえて、法改正を含めた「必要な措置を講じる」と明記している。
法施行後もいじめを苦にした自殺は続いており、馳浩文部科学相は共同通信の取材に「自殺事案なども踏まえ、立法府が総括をして協力する」と、与野党による議論で改正の是非を決めるべきだとの考えを示した。ただ、議員の中には法改正による詳細な規定は、画一的な対応につながるとして危ぶむ声もあり、改正の有無は不透明だ。
同法は2013年6月21日に成立、同年9月28日に施行された。国のいじめ防止対策協議会が9月中にもまとめる報告なども参考に、秋の臨時国会に向け議論が始まる。
与野党による総括では、自殺や長期欠席などの重大事態に至るのを防ぐため、早期の発見、対処を現場に徹底する方策も焦点になるとみられる。
きっかけとなった大津市でいじめを苦に自殺した中2男子生徒の遺族は2月、いじめの情報を学校が把握した場合、保護者への報告を義務化することなどを馳氏に要望している。
法律は、学校に防止のための基本方針の策定や対策組織の設置を義務付けている。文科省によると、3月末時点で国公私立の小中高校など全校がいずれも実施している。
しかし、昨年7月の岩手県の中2男子自殺では、生徒がノートなどでいじめを繰り返し訴えていたが担任以外に伝わらず、組織的な浮き彫りになった。
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