令和5年2月16日 中国新聞デジタル

中2生徒「指導死」訴訟 東広島市議会で和解関連議案を審議

2012年に広島県東広島市立中2年男子生徒=当時(14)=が自殺したのは教員の不適切な指導が原因として、両親が市などに約11700万円の損害賠償などを求めた訴訟で、市議会は16日、市が原告と和解するための関連議案を審議した。市議からの発言は、子どもに命の大切さを教えることの徹底を市に念押しするにとどまった。

広島地裁が1月に示した和解条項には、机を蹴るなど生徒への暴力的な指導があったことを市が認めて謝罪し、「指導死」を防ぐための教員研修などに努めることが盛り込まれている。

審議では、江口和浩・学校教育部長が「真摯(しんし)に受け止め、二度と悲しい事案が起きないよう再発防止策を講じる」と述べた。これに対し市議1人が発言し、和解方針を評価。「子どもの学習機会で人権の尊重を伝えることが大事」などと求めた。祭田学・教育調整監は「子どもが命を大切にし、自分や友達を大切にして生きていくよう教育を進めたい」と答えた。(教蓮孝匡)

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令和5年2月13日 中国新聞デジタル

東広島の中2自殺訴訟 市、暴力的指導認め遺族に謝罪へ 和解金1000万円支払う方針

市長「早期に解決すべきと判断」

東広島市役所

東広島市役所

2012年に広島県東広島市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺したことを巡り、両親が市などに約11700万円の損害賠償などを求めた訴訟で、和解方針を示している市が教員たちによる暴力的な指導があったと認めて遺族側に謝罪し、和解金1千万円を支払う方針であることが13日、分かった。市が市議会定例会に関連議案を提案した。

訴状などによると、生徒は1年生の時から、複数の教員から厳しい指導を繰り返し受けた。12年10月、教員4人から指導を受けるなどした後、下校途中に学校近くの公園で自殺した。遺族側は15年6月に提訴。広島地裁は今年1月に和解案を提示し、原告、被告側双方が受け入れる考えを示している。

議案などによると和解条項には、机を蹴るなど生徒への暴力的な指導などがあったことを市が認め、謝罪することが盛り込まれている。教員の不適切な指導で子どもを死に追い込む「指導死」の再発を防ぐため、市が教員研修などに最大限努めることも定めている。

高垣広徳市長は和解案を受け入れる方針について、遺族たちの長期間の心痛への考慮などに触れ、「早期に解決するべきだと判断した」としている。(教蓮孝匡)

 

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令和5年2月8日 中国新聞デジタル

東広島中2自殺訴訟 市、遺族と和解方針

2012年に東広島市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺したのは教員による不適切な指導など 「学校側が安全配慮義務を怠ったことが原因」として、両親が市などに約1億1700万円の損害賠償などを求めた訴訟で、市は7日、遺族と和解する方針を決めたと発表した。和解条項には、市が教育現場での不適切指導の再発防止に努めることなどが盛り込まれる見通し。

地裁が1月に和解案を提示していた。遺族側も案を受け入れる考え。市は13日開会予定の市議会定例会に、和解に応じるための議案を提案する方針。可決されれば、3月3日に広島地裁で和解が成立する見通し。市教委は「市議会の議決前のため、コメントは控える」とする。

訴状などによると、男子生徒は1年生の時から、複数の教員から厳しい指導を繰り返し受けた。12年10月の自殺当日、休み時間に美術教材のカボチャで遊んだことを理由に教員4人から指導を受け、所属していた野球部の練習参加も禁じられた。精神的に追い詰められ、下校後に学校近くの公園で自ら命を絶った。遺族側は15年6月に提訴した。(教蓮孝匡)

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令和4年11月7日 中国新聞デジタル

東広島の中2自殺訴訟 和解協議を継続へ

広島地裁

広島地裁

2012年に東広島市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺したことを巡り、両親が市などに約11700万円の損害賠償などを求めた訴訟の和解協議が7日、広島地裁であった。和解する場合の具体的内容について、引き続き話し合う。協議終了後に双方が明らかにした。次回協議は12月を予定する。

訴状などによると、生徒は12年10月、教員4人から指導を受けるなどした後、下校途中に学校近くの公園で自殺した。訴訟で、原告側は教員による不適切な指導など「学校側が安全配慮義務を怠ったことが自殺の原因」などと主張。被告側は「指導は教育的効果を見込んだ適切なもの」などと反論している。9月末の証人尋問後、同地裁が双方に和解協議を投げかけた。

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令和4年11月5日 中国新聞デジタル

子どもの「指導死」、見込んだ教育的効果と問われる配慮 東広島の生徒自殺訴訟

訴訟経過

2012年に広島県東広島市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺したのは、教員による不適切な指導など「学校側が安全配慮義務を怠ったことが原因」として、両親が市などに約11700万円の損害賠償などを求めた訴訟が広島地裁で続いている。指導と自殺の因果関係や、学校側が自殺を予見できたかが争点。教員の叱責(しっせき)で子どもが死に追い込まれる「指導死」が全国で問題となる中、7日に地裁と原告、被告側双方の2回目の協議があり、訴訟の行方が注目される。

訴状や尋問での証言などによると、生徒は1年生の時から複数の教員による日常的な指導を受けていた。12年10月の自殺当日、休み時間に美術教材のカボチャを廊下に置いたことをきっかけに、教員4人から相次いで指導された。生徒は教室で涙を流し、「自殺した方がいいんかな」との言葉を聞いた友人もいた。

生徒が所属していた野球部を指導する教員男性は当日の放課後、「部活をする資格がない」と声を荒らげて練習参加を禁じた。生徒は用具入れのコンテナにこもり、様子を見に来た別の教員男性に「責任を取ります」などとつぶやいた。下校後、公園で自ら命を絶った。

訴訟で原告側は、生徒に精神的負担を与える指導を重ね、負担を取り除く配慮もないまま、憔悴(しょうすい)した様子の生徒を1人で帰らせたことが自殺につながったと主張。被告側は、指導は教育的効果を見込んだ適切なもので、教員は生徒の自殺を予見できるような事実を知らなかったと反論している。

提訴から7年。この間、原告側が申し立てた証拠保全や文書提出命令の審理が長期化した。21年6月、最高裁が市に一部資料の提出を命じて決着。損害賠償請求訴訟が再び動き出した。

ことし8月の証人尋問で、当時の野球部の指導教員男性は練習への参加禁止について「(自分がしたことを)振り返ってから参加してほしかった」と意図を説明。9月には両親の証人尋問があり、閉廷後に地裁は1回目協議として和解の可能性を探ることを原告、被告側双方に投げかけた。

全国の指導死を巡っては12年7月、岡山市内の県立高野球部マネジャーだった2年男子生徒=当時(16)=が自殺。県教委が設けた第三者委は21年3月、同部監督の暴言や叱責が原因とする報告書をまとめ、「教員の立場を利用したハラスメント」と指摘した。県教委は同年11月、学校側の責任を認めた。福井県池田町では17年3月、担任らの厳しい叱責を受けた町立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺。遺族は20年6月に町と県に対する損害賠償請求訴訟を起こし、22年3月に和解が成立した。(教蓮孝匡)

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令和4年11月5日 中国新聞デジタル

遺族「個性や立場に寄り添う教育を」 東広島の生徒自殺訴訟

黒塗

黒く塗られた部分が目立つ開示資料を広げ、「息子の死の真相が知りたい」と語る両親(撮影・田中慎二)

2012年に広島県東広島市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺したのは、教員による不適切な指導など「学校側が安全配慮義務を怠ったことが原因」として、両親が市などに約1億1700万円の損害賠償などを求めた訴訟で、市などと係争中の父親(53)と母親(57)が、中国新聞の取材に応じた。息子の死の背景が少しでも明らかになるよう、裁判に託す思いを語った。(教蓮孝匡)

―どんな思いで裁判に臨んでいますか。

母 大好きな野球を頑張っていた息子が、なぜ死ななければならなかったか。真実に近づきたい。事実を一つ一つ見つけるための裁判。先生たちが法廷で語った言葉で、初めて知り得た事実や思いもあった。

父 一方で、学校でのことは裁判までしなければ親でも知ることができないのかとも思う。本来は第三者調査委員会が報告書で示すべきこと。再調査を市や県、国に請願・陳情したが実らず、文書開示を求めても非開示や「黒塗り」ばかり。最終手段としての裁判は長く、もどかしい。

―いわゆる「指導死」は全国で後を絶ちません。

父 同じような悲しい経験をした全国の親たちでつくる会に参加し、体験を分かち合ったり、子どもの命を守るための活動をしたりしている。近年、職場でのハラスメントへの社会認識は高まったが、「先生の指導が子どもを極度に追い詰めることがある」との認識も広がることを望む。

母 息子のように、厳しい指導に苦しむ子が今もいるかもしれない。子どもの個性や立場に寄り添う接し方が当たり前の教育現場になってほしい。

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令和4年8月17日 中国新聞デジタル

東広島の中2自殺、指導した教員に尋問 広島地裁

広島地裁

広島地裁

2012年に広島県東広島市内の中学2年男子生徒=当時(14)=が自殺したのは学校側が安全配慮義務を怠ったのが原因などとして、両親が市などに約11700万円の損害賠償などを求めた訴訟の口頭弁論が17日、広島地裁であった。自殺当日に指導した教員の証人尋問があり、当時の状況などを語った。

訴状などによると、生徒は1年生の時から、複数の教員から厳しい指導を繰り返し受けた。12年10月の自殺当日、休憩時間に美術の教材で遊んでいたことを理由に教員4人から指導を受け、所属していた野球部の練習参加も禁じられた。精神的に追い詰められ、下校後に学校近くの公園で自殺した。市側は請求棄却を求めている。

この日は教員4人のうち2人が出廷。野球部で指導していた教員男性は練習参加の禁止について「(やったことを)振り返ってから参加してほしかった」と意図を説明。一方、1人でグラウンドにいる生徒に声を掛けるなどのフォローができなかったと述べた。遊んでいるのを注意した教員女性は「指導が自殺の原因だとは全く思わなかった」と証言した。

訴訟では今後、他の教員や両親の尋問も予定している。(堅次亮平)

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平成30年3月29日中国新聞朝刊

自殺中2の指導

不開示は「適法」

広島地裁が請求棄却

2012年に自殺した東広島市の市立中2年男子生徒=当時(14)=の母親(52)が、男子生徒への生徒指導について記した文書を一

部不開示とした市教委の決定は違法として、市に決定取り消しなどを求めた訴訟で広島地裁の末永雅之裁判長は28日、請求を棄却した。

木水裁判長は、不開示部分には男子生徒に対する指導方針に関する教員間のやりとりなどが記載され、「開示されれば学校が生徒の評価や指導方針を決める際に自由に意見交換できず困難が生じる」と指摘。他の生徒の証言や名前も記載されていると考えられ、市個人情報保護条例の不開示理由に当たるとして市教委の判断は適法とした。

傍聴した母親は「何があったのか知りたいだけなのに残念」と話し、市教委は「主張が認められたと受け止めている」としている。

訴状などによると、生徒は12年10月卯一日、教員たちから厳しく叱責された後、下校中に学校近くの公園で自殺した。

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平成29年9月1日中国新聞
聴取記録開示は不服
  東広島中2自殺で市が控訴

 2012年に東広島市の市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺したのを受け、市教委が設置した調査委員会が生徒たちに実施したアンケートの原本や聴取記録打‥11件を不開示としたのは違法として、母親(51)が市に不開示決定の取り消しなどを求めた訴訟で、市は一部開示とした広島地裁の判決を不服として控訴した。市教委が31日、市議会文教厚生委員会で報告した。控訴は8月28日付。
 判決は、教職員への聴取記録1件の開示を命じ、他の10件の請求は退けた。市教委は、同記録について、関係する生徒や保護者の個人情報も含まれるとしたうえで「言動の一つ一つが開示されることで、教員が思い切った指導をするのが難しくなる」などと控訴の理由を説明した。
 男子生徒の母親も8月22日に控訴した。母親は「学校で何が起こったを知るため、調査前から開示を求め続けてきた。一方的に事実を隠され、納得できない。」としている。
(土井和樹)

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平成29年8月10日中国新聞
教職員聴取記録1件開示命じる
東広島中2自殺 地裁、10件は棄却

2012年10月に東広島市の市立中2年の男子生徒=当時(14)が自殺したのを受け、市教委が設置した調査委員会が生徒たちに実施したアンケートの原本や取記録計11に件を不開示としたのは違法として、母親(51)が市に不開示決定の取り消しなどを求めた訴訟の判決が9日、広島地裁であった。末永雅之裁判長は、教職員への聴取記録1件の開示を命じ、他の10件の請求は退けた。
末永裁判長は、教職員の聴取記録については「生徒指導という職務に関わる内容。市の個人情報保護条例の不開示事由に当たらない」とした。
一方、生徒や保護者へのアンケートは「調査委以外に開示しないことを条件に提供された情報」と指摘。
生徒と保護者への聴取記録も個人が識別され、保護条例の開示義務を負わないとし、母親の主張を退けた。
判決後、両親は「市教委や学校に聞いても、調査委の報告書を読んでも息子が亡くなった理由が分からない。息子の近くで過ごした生徒の生の声が知りたかった。
市教委は「判決を精査して今後の対応を検討したい」としている。(有岡英俊)

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