「いじめ疑いある」2年前に道教委が指摘 旭川中2死亡

2021年5月12日 付朝日新聞

写真・図版

女子中学生が亡くなったとみられる公園には、花束が手向けられていた=2021年4月16日午後4時24分、北海道旭川市、平岡春人撮影

北海道旭川市で3月、市立中学校2年だった女子生徒(当時14)が遺体で見つかり、遺族がいじめを訴えている問題で、道教育委員会が2年前、いじめの疑いがあるとして、市教委に事実関係の把握などを求める指導をしていたことが明らかになった。

関係者によると、女子生徒は中学1年だった2019年、ネットでの自らの画像のやりとりをめぐり、ほかの生徒とトラブルになっていた。市教委は当時、当事者らから聞き取り調査をしたが、いじめと認定しなかった。

11日の答弁によると、道教委は同年9月、市教委から女子生徒の事案について報告を受けた。伊藤課長は「道教委としては、報告内容からいじめの疑いがあると判断し、市教委に対し速やかに詳細な事実関係の把握とともに、いじめと認知した場合は、学校での組織的対応や被害生徒とその保護者の心情に配慮した対応を行うよう指導・助言した」と述べた。

この問題をめぐっては、市教委は4月27日、いじめの有無について、医師や大学教授らでつくる「いじめ防止等対策委員会」で調査することを決めた。道教委によると、事実解明に向けて道教委として適切に市教委を指導・助言するように、文部科学省から4月下旬に指導を受けたという。(芳垣文子)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2021年4月27日付北海道新聞

【旭川】旭川市内で行方不明になった後、3月に遺体で見つかった当時中学2年の女子生徒について、旭川市教委は27日に開いた教育委員会会議で、いじめで重大な被害を受けた疑いがある「重大事態」と認定し、市の第三者委員会で調査すると決めた。5月中に第三者委員会の初会合を開き、関係者への聞き取りなどでいじめの有無などを調査する。

 会議は非公開で行われ、死亡した女子生徒について市教委は「いじめによって重大な被害が生じたかどうかを確認する必要が生じた」として重大事態と認定した。会議後、黒蕨(くろわらび)真一教育長は「迅速に事実を解明したい」と述べた。第三者委員会による具体的な調査方法などは未定という。

 女子生徒を巡っては、週刊文春の電子版「文春オンライン」が今月、「女子生徒はいじめを受けていた」と報道。市はこれまでの説明で、女子生徒が2019年に校外で中学生らとトラブルになり市内の別の学校に転校したが、学校などが女子生徒や関係する生徒に聞き取った際、いじめは確認できなかったとしていた。

 いじめ防止対策推進法は、いじめによって児童らの生命などに重大な被害が生じたり、相当期間の学校の欠席を余儀なくされたりした疑いがあると認められる場合を重大事態と定義し、学校側が事実関係の調査などを行うと定めている。

 

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2021年4月22日朝日新聞

遺体で発見された中2、旭川市教育委がいじめ有無調査へ

写真・図版

記者会見する北海道旭川市の西川将人市長(右)と黒蕨真一教育長=2021年4月22日午後4時17分、旭川市役所、井上潜撮影

 北海道旭川市で自宅を出た後に行方不明になり、3月に遺体で発見された市内の中学2年の女子生徒(当時14)が、以前に他の生徒らとトラブルになっていたとして、市教育委員会は22日、いじめの有無について第三者委員会で調査することを決めた、と発表した。女子生徒の母親は朝日新聞の取材に「いじめを受けていた」との認識を示した。

捜査関係者らによると、女子生徒は今年2月13日に行方不明になった。北海道警旭川東署が同日に届け出を受け、3月に入り公開捜査していたところ、同23日、市内の公園で雪の中から遺体で見つかった。死因は低体温症とみられ、署などは事件性はないと判断したという。

関係者によると、女子生徒は中1だった2019年、ネットでの自らの画像のやり取りなどをめぐり、他の生徒らとトラブルになった。同年9月に学校側が女子生徒の保護者と他の生徒らの保護者が集まる場を設け、他の生徒側が謝罪した。女子生徒は、市内の別の中学校に転校したという。市教委は当時の調査について、「当事者からの聞き取りの結果、いじめの認定には至らなかった」としている。

この問題は今月15日、文春オンラインが「いじめ」として報じた。これを受け、市教委は22日の市総合教育会議で西川将人市長や教育委員に経緯を報告し、第三者でつくる市教委の「いじめ防止等対策委員会」で調査することを決めた。会議後、取材に応じた西川市長は「我々が認識していた状況と、文春の報道に大きな違いがあった。いじめの疑いも含め、しっかり調査したい」と述べた。

女子生徒の母親は22日、弁護士を通じて「娘は生前、勉強したり絵を描いたりすることが大好きな子でした。イジメに悩まされながらも必死で生きてきました。市の調査が進み、これまで明らかにされなかった情報が開示され、真相が一刻も早く究明されることを願っております」との談話を出した。(井上潜、本田大次郎)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn