「ずっといじめられてた」中1自殺、父が真相究明求める

2021年6月16日付朝日新聞

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会見した女子生徒の父親=2021年6月15日、野々市市役所、岡純太郎撮影

石川県野々市市の市立中学校でいじめを訴えていた1年生の女子生徒が2月に自殺した問題で、この生徒の父親が15日、市役所で会見し、学校側の対応を批判すると共に、「娘が自殺して約4カ月が経つなか、記憶が風化してきている。私が知りたいのは、とにかく何があったのかです」などと真相究明を訴えた。

市教委などによると、女子生徒は昨年から今年1月にかけて学校が複数回行ったアンケートで「いじめを受けている」「悩みがあり困っている」などと回答していたが、学校側は本人と面談するなどして、いじめは解決したと認定したり、いじめではないと判断したりしている。

女子生徒や、他の保護者からいじめの様子を聞いていたという父親は会見でこの点に触れ、「娘はずっといじめられていた」「同じ仲良しグループのメンバーが入れ代わり立ち代わり、亡くなるまで繰り返しいじめていた」などと強く反論。また、2月のアンケートで女子生徒が「いじめはない」と回答を一変させた点については「(いじめを訴え続けることに)心が折れたのかな。絶望の底に達してしまったのでは」などと語った。

生徒の自殺を巡っては、市教委が「いじめ防止対策推進法」の「重大事態」にあたるとして、4月に第三者委員会を設けて調査している。この日の会見後に報道陣の取材に応じた市教委の大久保邦彦教育長は「第三者委の調査を粛々と受けたい。ご遺族に理解いただけない点があったら、改められるよう努力していきたい」などと語った。(岡純太郎)

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2021年3月19日付朝日新聞

いじめ繰り返し訴えた、自殺の中1 学校はないと判断

写真・図版

自殺を受け、今月16日に生徒や保護者ら向けに配られた資料。亡くなった背景調査を行うことなどが書かれていた=2021年3月17日、野々市市内、堀越理菜撮影

石川県野々市市の市立中学校でいじめを訴えていた1年生の女子生徒が2月に自殺していた問題で、学校が昨年11月や今年1月に行ったアンケートでこの生徒がいじめを訴える回答をしていたことが市教委への取材でわかった。学校は回答後に本人と面談したが、いじめではないと判断。市教委に報告しなかったという。

学校は1、2カ月に1回の頻度で、全校生徒にアンケートを実施し、いじめの有無などを確認している。学校がいじめを最初に把握したのは昨年10月のアンケート。生徒自身がいじめを受けていると回答したことがきっかけだったという。

さらにこの生徒は学校の聞きとり調査に対し、同じ学校の生徒から悪口を言われたり、からかわれたりしたと訴えたという。学校は市教委に状況を報告。解決に向けた対応をし、その後は経過観察としたという。

昨年11月と今年1月のアンケートでも、2回とも生徒がいじめがあったと回答したため、その都度聞き取りをしたが、最終的に学校はいじめではないと判断。市教委への報告を見送ったという。生徒と学校の間でどのようなやりとりがあったかについて、市教委は「個別案件なので、差し控える」としている。

  • いじめられている君へ

その後、学校は2月2日にいじめが解消したと市教委に報告したが、その9日後の11日に生徒は自宅で自殺した。亡くなる前日にもアンケートは行われたが、生徒は「いじめはない」と回答していたという。一連の対応について、市教委は近く設置する第三者委員会で検証に乗り出す。

一方、生徒が自殺した5日後の2月16日に、学校は1年生を集めた朝礼で校長が生徒の死を伝え、18日までスクールカウンセラーを臨時派遣したという。今月16日にも、校内放送で全生徒に自殺を報告し、16、17日もカウンセラーを派遣して生徒のケアにあたったという。

「先生はもっと敏感に察知してほしい」

3月にこの学校を卒業した女子生徒は、学校アンケートは自身や周囲でのいじめの有無を確認するものだったと振り返り、「(いじめが)あると書いたら、後で先生に呼ばれて、それが広まって、自分がいじめられるかもしれない。もしいじめを目撃しても、みんな書かないのではないか」と話した。

娘が同じ中学の1年生だという40代女性は「学校はもう少し何かしてあげられなかったのかなと思う。先生にはいじめなどをもっと敏感に察知してほしい」と話していた。(三井新、堀越理菜)

石川県警によると、昨年県内で自殺した未成年者は男性2人、女性1人の計3人だった。小中高生などの内訳について県警は、個人の特定につながるおそれがあるとして公表していない。

また、県内全体の自殺者数は、男性138人、女性48人の計186人(前年比14人増)だった。そのうち、年齢階級別で最も多いのは70歳以上で49人、次いで40代と50代がそれぞれ35人だった。原因・動機別では、「不詳」が最も多く、遺書などから明らかに推定できるとされたものでは「健康問題」や「経済・生活問題」が多かった。いじめを含む「学校問題」は0人だった。(堀越理菜)

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