平成31年4月26日付河北新報

4月26日付河北新報能代いじめ

記者会見で再調査報告書の内容を説明する京野委員長(右)=秋田県庁

2014年度に秋田県能代松陽高(能代市)に入学した女子生徒が所属した運動部内でいじめを受けた問題で、県子どもの権利擁護委員会は25日、再調査報告書を佐竹敬久知事に提出した。

部活動に加え、在籍した2年生のクラスでもいじめがあったと新たに認定。県教委の第三者委員会が16年にまとめた調査報告書より踏み込んだ。  再調査報告書は、最初の調査と同様に部活内でのいじめを認定した上で、その影響が1年生の時のクラスにも広がりつつあったと指摘。2年生のクラスで虚偽のうわさを流されたことにも触れ、加害者の特定は困難だがいじめがあったと判断した。  さらに(1)当時の校長はいじめへの認識が不十分で、被害生徒の訴えを聞かず、組織的対応をしなかった(2)被害生徒と加害が疑われた生徒への対応が明らかに異なり、学校への不信を生んだ-などとも指摘。被害生徒を苦しませたことについて「重大な反省をもって受け止めなくてはならない」と強調した。  再調査は被害生徒への聞き取りを出発点に位置付けた。子どもの権利擁護委委員長の京野垂日(たるひ)弁護士は記者会見で「被害を訴えた生徒に対する学校の対応が理解できない。被害生徒を守る対応ができず、かえって孤立させてしまった」と当時の対応を批判した。  県教委第三者委の報告書に対し、被害生徒側が「事実と異なる記載がある」と異議を申し立て、県は17年11月に再調査の実施を決めた。  佐竹知事は「学校側に厳しい内容になった。いじめ問題について先入観を排して実態を把握し、被害生徒の真情に意を用いた適切な措置を取るよう、教委に強くお願いする」とのコメントを出した。

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平成29年7月20日河北新報
<能代松陽高いじめ>知事に再調査請求

秋田県立能代松陽高(能代市)で2014年度と15年度に女子生徒が所属する運動部の部員からいじめを受けた問題で、被害を受けた女性(18)が19日、県教委の第三者委員会による報告書では学校の対応の問題点が未解明だとして、いじめ防止対策推進法に基づき、同校と県教委の対応を再調査するよう佐竹敬久知事に請求した。
再調査を求める理由として、報告書でいじめの原因を女性の言動に起因すると誤認していることや、クラスでのいじめの実態が解明されていないことなどを挙げている。
報告書によると、女性が1年生だった14年8月ごろから、部内で無視されたり粗雑な対応を取られたりした。報告書は、人間関係のこじれと位置付けた学校側の対応を「極めて場当たり的なもの」だったと指摘。一方で、クラスでのいじめは「認定できない」と結論付けた。
女性は取材に「クラスでもいじめはあった。学校に相談しても取り上げてくれなかった」と反論。また、報告書の中で、虚偽の発言が取り上げられたと指摘している。
代理人を務める草場裕之弁護士(仙台弁護士会)は「学校の対応からは、いじめの事実を隠そうとする動きが推認される。このままでは女性の精神的苦痛が癒やされず、同様の被害が再発する危険性は高い」と請求理由を説明する。
県教委高校教育課の担当者は「文書が届いていないため、コメントできない」と話している。
第三者委は県内の弁護士と医師、臨床心理士の3人で構成。報告書は15年12月から生徒や教職員らに聞き取りをしてまとめられ、16年7月に大半が黒塗りの状態で公表された。

<能代松陽高いじめ>被害女性が心境手記

「何度も死にたいと思いました」「(学校側に)どんなに助けを求めても、誰も助けてくれませんでした」。
能代松陽高に在籍時、いじめを受けた女性(18)は再調査請求に当たり、弁護士を通じて当時の心境をつづった手記を寄せた。
女性によると、1年生だった2014年の夏以降、運動部の部活中に同学年の部員からボールを体にぶつけられてあざができたり、「死ね」「消えろ」などと暴言を吐かれたりした。クラスでもいじめが起きるようになった。
取材に対して、女性は「学校に居場所がなくなったが、必死の思いで耐えた」と振り返った。
やがて心身に変調をきたし、睡眠障害になったほか体重が激減した。県教委の勧めで、16年4月に別の高校に避難した。
手記には「いじめられて自分で命を絶った子たちの気持ちが、この3年間で痛いほど分かった」と書かれている。
女性は「学校が早い段階で対応してくれれば長引かず、避難する必要もなかったはずだ」と訴えている。

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