2022年12月8日付朝日新聞

1インフル転落死訴訟、三木市が控訴断念へ 母「寄り添う学校に」

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三木市役所=三木市上の丸町、小野大輔撮影

 兵庫県三木市の緑が丘中学校で2014年、中学1年生の北芝隆晴さん(当時12)が校舎4階から転落死し、教諭の注意義務違反を認め市に約2千万円の賠償を命じた神戸地裁判決をめぐり、市は控訴しない方針を決めた。

  • インフルの高熱で中1転落死 教諭の注意義務違反を認め、賠償命じる

 11月30日の判決によると、北芝さんは登校時は家族から見て変わった様子はなかったが、体育で持久走をした後、インフルエンザによる高熱で意識障害になり、窓から転落した。

 判決は、体育教諭は異変に気付けたはずなのに、養護教諭へ引き渡す注意義務を果たさなかったとし、過失を認定した。

 市は7日、判決を不服として控訴を提起するための議案を市議会に提出したが、同日に反対多数で否決された。仲田一彦市長は「議会の判断を重く受け止め、真摯(しんし)に対応する」とコメントしている。

 北芝さんの母・嘉代子さん(50)は、市が控訴を断念した一報を聞き、自宅で線香をあげて隆晴さんに報告した。「9年間止まっていた時間がようやく動き出した。先生たちの負担が大きいのは十分分かっているが、もう一歩踏み込んで子どもに寄り添う学校現場になってほしい」と話した。(天野剛志 岩本修弥)

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2022年12月7日神戸新聞NEXT

教諭の過失認めた中1男子転落死訴訟、三木市が控訴断念へ 議会が議案否決、遺族の母「現場の意識変わって」

転落事故訴訟の控訴に関する議案を否決した三木市議会=7日午後、三木市議会議場
転落事故訴訟の控訴に関する議案を否決した三木市議会=7日午後、三木市議会議場

兵庫県の三木市立緑が丘中学校で転落死した男子生徒の遺族に対する賠償を市に命じた神戸地裁判決を巡り、三木市は7日、控訴を断念する方針を固めた。控訴するための議案を市議会に提出していたが同日否決され、仲田一彦市長は「議会の判断を重く受け止め、真摯に対応していく」と述べた。控訴期限は14日。

事故は2014年1月、北芝隆晴さん=当時(12)=が体育の授業で持久走をした後に発生。4階教室の窓から転落して亡くなった。地裁判決では、インフルエンザによる高熱で異常行動を起こしたと認定。異変が見られた北芝さんを養護教諭に引き渡さなかった体育教諭の過失を認め、市に計約2070万円の支払いを命じた。

市は、控訴を提起する議案と仮執行停止の申し立て費用を計上した追加の補正予算案を提出したが、市議会は反対多数で否決した。

反対した市議の1人は「司法の判断を尊重した。裁判を続けると、ご遺族にさらに負担がかかる。教育現場の体制を整えていくのが市の役目だ」と説明した。

北芝さんの母嘉代子さん(50)は「今後、教育現場の意識がどのように変わっていくのかが大切だと思う。救えるはずの命が救われるようになってほしい。自分も次に何ができるのか考えていきたい」と話した。(小野萌海、篠原拓真)

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2022年11月30日付朝日新聞デジタル

インフルの高熱で中1転落死 教諭の注意義務違反を認め、賠償命じる

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判決後、記者会見する北芝隆晴さんの母・嘉代子さん(左)=2022年11月30日、神戸市中央区、岩本修弥撮影

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亡くなった北芝隆晴さん(当時12)の遺影=2022年11月30日、神戸市中央区、岩本修弥撮影

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神戸地裁=神戸市中央区

兵庫県三木市の緑が丘中学校で2014年、1年生の北芝隆晴さん(当時12)が校舎4階から転落死した事故で、教諭が適切に対応していれば防げたとして、遺族が市に約8150万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、神戸地裁であった。久保井恵子裁判長は、教諭による注意義務違反を認め、市に約2千万円の賠償を命じた。

判決によると、北芝さんは141月、体育の持久走後に具合が悪くなり、4階の教室に戻った後、窓から中庭に転落して死亡した。

判決は、インフルエンザによる高熱で意識障害となり、事故が起きたと認定。体育教諭は、授業後に北芝さんが座りこんでいるのに気づいていたほか、持久走の直後には汚れていなかった体操服が泥まみれになっており、北芝さんの異変に気づけたはずなのに、保健室まで連れて行き、養護教諭へ引き渡す注意義務を果たさなかったと判断した。

市教委は「今後の対応については顧問弁護士と相談し検討して参ります」とするコメントを出した。

判決後、母・嘉代子さん(50)は記者会見で「隆晴の命は救えなかったけど、判決で学校の責任が認められたことで、少しでも教育現場が変わって欲しい」と涙ながらに語った。(岩本修弥)

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