平成29年11月6日朝日新聞青森版
いじめ防止方針、けんかも対象に 県教委改定

 県教育委員会は、いじめ防止や対処を目的とした「県いじめ防止基本方針」を改定した。いじめの定義に、新たに「けんか」を追加。また、県内で起きたいじめ自殺の調査報告書などを踏まえ、スクールカウンセラーを充実させたり、対処方法を具体的に例示したりしている。
 県と県教育委員会が1日公表した。基本方針が2014年6月に策定されて以来、改定は初めてで、今年3月に国がいじめ防止基本方針を改定したことを受けたもの。改定作業は、2014年の八戸北高女子生徒の自殺に関する調査報告書が指摘した再発防止策や、市町村教委などから募った意見を参考に行われた。
 改定では、いじめの定義にけんかを追加。背景事情を調査し、児童生徒の感じる被害性に着目することで、いじめか否かを判断することにした。
 また、学校評価にいじめの取り組みを反映することを明記。さらに、インターネットのいじめ対応について、これまで「体制の整備」としていたのを、「ネットパトロールや情報教育の充実等の体制の整備」に変更するなど、具体的な表現
に改めた。
 今後は県の方針を参考に、各学校でのいじめ防止基本方針の改定が行われていくという。(山本知佳)

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平成28年11月7日 朝日新聞社

自殺した高2の実名公開 母親「いじめ問題を考えて」

写真・図版

亡くなる3カ月前(2014年4月)に父親が撮影した大森七海さん

 2014年に青森県立八戸北高校2年生の大森七海さん(当時17)が亡くなり、いじめによる自殺の可能性が高いと訴えてきた両親が七海さんの実名と写真を公開した。母親(52)は公開の理由について「いじめを身近な問題として考えてほしい」と話している。

 東京都内で5日に開かれたシンポジウムで明らかにした。母親は8月に青森県内で2人の中学生が自殺したことにも触れ、「いじめの認識不足や情報共有の不備を何度繰り返したら学校は気づくのか」と憤りを語った。七海さんは高校入学後に同級生から無視や悪口などのいじめを受けていたといい、14年7月に八戸沖で遺体でみつかった。

県教育委員会の第三者機関はいじめについて「悪質性を認めるに至らない」などとして死亡との因果関係を否定したが、県知事の第三者機関は再調査で15年3月に「いじめと自殺には一定の因果関係があった」と認めた。

 母親はこれまで匿名で体験を語ってきたが、今年7月「いじめを他人ごとだと思う人にも考えてもらいたい」と、七海さんの写真にメッセージを添え、全国の学校でいじめ防止のための講演をしているNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)に提供。同法人主催の5日のシンポジウムでも展示された。(榎本瑞希)

 

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平成28年4月29日 朝日新聞青森版

元同級生ら、女子生徒思う 八戸北高生死亡問題

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女子生徒が気に入っていたというクマのぬいぐるみを手にする幼なじみ=金沢市

  2014年7月に八戸北高校2年の女子生徒(当時17)が八戸沖で遺体で見つかり、両親がいじめによる自殺の可能性が高いと訴えている問題で、4月に新生活をスタートさせた友人たちは、今もそれぞれの場所で女子生徒のことを思っている。

 1年時の同級生(18)は県外の大学に入学した。下宿先には、高校の物理と英語の教科書を持ってきた。

ページの隅に、女子生徒が教科書を借りた時に書いたクマの落書きが残っているからだ。

 仲良くなったのは、高校入学後1、2カ月してから。昼食を食べる時、女子生徒がグループの輪の中にいるのに無視されていることに気づき、「大丈夫だよ」と声をかけた。その後、好きな歌手の話で盛り上がり、女子生徒が手作りのお菓子を持ってきてくれたこともあったという。

 亡くなったのを知ったのは、2年時の全校集会だった。保健室で泣いた。今もふと思い出すことがある。

「(女子生徒が)ここにいたら何を話したかな」

 昨春に大学に進学した1歳上の幼なじみ(19)は、金沢市で一人暮らしをしている。部屋のベッドの上には女子生徒のクマのぬいぐるみがある。「見る度に『この色かわいいでしょ』と笑っていた彼女の顔を思い出す」

 別の高校だったが、一緒に勉強したり出かけたりした。異変に気付いたのは13年の初冬。一緒にお風呂に入ろうとしたら、女子生徒はあばら骨が浮くほど痩せていた。理由を尋ねると、「学校で友達とうまくいっていなくて。他の人には言わないでね」とつぶやくように悩みを打ち明けた。

 女子生徒が亡くなり、自分を責めたという。「あの時もっと話を聞いて、(その後も)真剣に接してあげていれば」。亡くなってから1年ほどは、名前を聞くだけでつらかったという。

 だが、今は大学の仲間に女子生徒のことを話せるようになった。「彼女は今でも大きな存在。ちゃんと向き合っていくべきだと気づいた」

 別の高校に通う1歳下の幼なじみ(17)は、今でも亡くなったことが信じられないという。自分が高校に合格したとき、女子生徒は「すごい、すごい」と喜んでくれた。通学時によく一緒になり、お互いの学校行事や恋愛の話をした。

 女子生徒がいじめを受けていたと知ったのは、亡くなってからだった。「一緒に怒ってくれる仲間も欲しかっただろうし、誰かに気づいてほしいと思っただろうな」。でも、女子生徒が自分の前で明るくしていた理由も想像できるという。「後輩の前で弱いところは見せたくない。『お姉さん』でいたかったんだと思う」 緊張する実習などの前には、女子生徒宅の仏壇の前で報告する。「絶対励ましてくれるだろうなと思って。

力をもらえる」(榎本瑞希)

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平成28年3月2日付朝日新聞青森版

いじめ受けた娘の心、想像して 高校卒業式に遺族

浜松中和解2

 女子生徒の卒業証書と写真を持って正門前に立つ両親=八戸市大久保の八戸北高校前(遺影にモザイクをかけています)

2014年7月に八戸北高校2年の女子生徒(当時17)が八戸沖で遺体で見つかり、両親がいじめによる自殺の可能性が高いと訴えている問題で、両親が1日、同高の卒業式に出席し、女子生徒の名前が書かれた卒業証書を受け取った。父親は式後、「(娘は)何事もなければ一緒に卒業し、今日を幸せな気持ちで過ごしていたかと思うと残念でならない」と話した。

卒業証書は、通し番号のついていない仮のもの。両親によると、式後、校長室で竹浪二三正校長から父親が受け取った。式では卒業生の名が読み上げられたが、女子生徒の名は呼ばれなかったという。

母親は「娘は本当は生きていたかった。社会に出たり、親になったりするであろう同級生には、娘の死を忘れてしまうのではなく、いじめを受けていた娘がどんな気持ちだったかこれからも想像してみてほしい」と話した。

女子生徒がどのように海に入ったのかは今でもはっきり分かっていない。母親は今も週に1、2回、八戸市の海岸を訪れているという。(榎本瑞希)

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