令和元年7月17日付神戸新聞

神戸・高1転落 生徒本人が徹底調査希望 調査委が初会合

神戸市東灘区の市立六甲アイランド高校で2017年12月、当時1年の男子生徒が長時間の別室指導後に校舎から転落し一時重体になった問題を巡り、原因究明に当たる調査委員会の初会合が16日、同市内であった。生徒本人が意見陳述し、徹底調査を要望した。

代理人弁護士によると、生徒はツイッターで問題を起こしたなどとして2日間で約16時間の指導を受けた後、校舎5階から転落。今は転校し、後遺症で松葉づえを使っている。生徒側は市教育委員会への不信感から、市長部局下での第三者による調査委設置を要望。調査委は市教委に置かれたが、調査権限は市長部局の行財政局に委任された。

初会合では、委員長に愛知教育大の折出健二名誉教授を選出。今後、教員や生徒らから聞き取り、生徒が転落に至った背景を検証する方針を確認した。生徒側は意見陳述で、弁解の機会がないまま別室指導で教員に「退学や」と言い渡されたことや、治療で体中に金属が入り、後遺症で嗅覚も失われるといった現状を伝えた。その上で「真実が知りたい」とし、「教委や学校に忖度せず、徹底した調査を」と求める要望書を提出した。(佐藤健介)

 

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平成29年12月30日 神戸新聞

六甲アイランド高生転落 停学より一般的「特別指導」運用に各校苦悩

神戸六甲アイランド特別指導

「学校関係者以外立入禁止」の看板が校門に立つ神戸市立六甲アイランド高校=29日午後、神戸市東灘区向洋町中4

神戸市東灘区の市立六甲アイランド高校で1年の男子生徒が校舎5階から転落して重体となってから、29日で1週間が過ぎた。

男子生徒は会員制交流サイト(SNS)上のトラブルを巡り、転落直前の2日間、クラスとは別室で教諭からの説諭や反省文を書く

などの指導を長時間受けていた。こうした指導は大半の高校が実施しているが、生徒が自殺した原因の一つとされる事例もあり、

運用の難しさが浮かび上がる。(広畑千春、井上 駿)

神戸市教育委員会によると、同校では今月発覚したツイッター上のトラブルについて、男子生徒を含む数人が別々の個室で指導を受けていた。男子生徒に対する聞き取りや説諭は21、22日に30分~1時間。反省文書きや自習などを含めると21日は7時間半、22日は8時間45分に上り、他の生徒より長かったという。

男子生徒は22日、別室で担任との面談や自習をする「学年指導」を25、26日に半日ずつ受けると決まり、保護者の来校を待っていた午後5時ごろ、敷地内で倒れているのが見つかった。校舎5階から転落したとみられている。市教委は今回の指導を「比較的軽いもの」と説明する一方、「全体として長時間だったことは否定できない」としている。

同校関係者によると、同校では月に数回、「学年指導」より重い「特別指導」として、問題行動を起こした生徒に対し別室で行動を説明させたり、反省文や日記を書かせたりしていた。長いときは2週間程度に及び、「指導が厳しく、落ち込む生徒もいた」という。

文科省の調査(2009年)では約82%の高校が、学校教育法施行規則が定める退学・停学・訓告の懲戒処分以外に、謹慎や

別室指導など「事実上の懲戒」を実施していた。兵庫県内の公立高教員によると、同校のような学年指導や特別指導は一般的で、

各校が内規を設け、生徒指導担当教員らが会議で指導内容を決めることが多いという。

県立高教員の一人は「かつて停学が多かったが、進学や進級に影響が大きく、今は別室指導が一般的」と話す。不適切な写真の

投稿などSNS上のトラブルが増えており、「事実解明が難しく指導が長時間化している。『炎上』すれば名前や学校名が拡散し、

生徒や学校に多大な影響が及ぶ。厳しく指導せざるを得ない」と苦悩をにじませる。

文科省は内規で定めた別室指導を認め、適切な運用を求めているが、指導内容については各校任せというのが実情。2015年

に奈良県で男子高校生が自殺した事案では、漫然と別室指導を繰り返したことが原因の一つとされている。

京都精華大学の住友剛教授(教育学)は「指導の方法や内容の妥当性だけでなく、日ごろの男子生徒の状況や、学校が何を

問題としてどのような配慮をしながら指導したのかなど、背景から丁寧に調べ、公表することが不可欠」と指摘している。

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平成29年12月26日神戸新聞夕刊

神戸の高1男子転落 市教委「比較的軽い指導だった」

神戸六甲アイランド軽い指導

記者会見する神戸市教育委員会の大谷真一学校教育部長(中央)ら=26日午前、神戸市役所(撮影・大森 武)

神戸市東灘区の六甲アイランド高校で1年の男子生徒が校舎5階から転落し、重体となっている問題で、市教育委員会の大谷真一学校教育部長らが26日、市役所で会見を開いた。市教委との一問一答は次の通り。

 

-男子生徒に対し、どのくらいの時間、どのような指導を行っていたのか 「21日は昼食などの休憩を含み、午前8時から午後3時半まで。22日は午前8時から午後4時45分まで。事実確認と指導のほか、それ以外は本人が状況を記した文章に基づいて反省文を書いたり、勉強をしたり」

-22日以降はどのような指導をする予定だったのか

「25日に、受けられなかった英語のテストと担任の面談、26日には冬休みの課題をしながら担任と面談。次のステップに進むために励ますような感じ。両日とも半日の予定だった」

-今回の指導には、複数の生徒に対してだったのか

「そうだ。何人かは明らかにできないが、それぞれ個別に指導していた」

-SNS上でのトラブルとは

「ツイッターに関するトラブルで、内容は個人的なことなので差し控える」

「ふざけ合いの程度で、いじめなどではない」

-トラブルに関する指導は全体で何分なのか

「教員の聞き取りや指導は21日が35分、22日は1時間程度」

-22日の男子生徒の様子は

「担任らによると、淡々としていた。変わった様子もなかった」

-転落と指導との因果関係をどう捉えているか

「非常に丁寧に配慮しながら対応していたと聞いている。このような結果になり重く受け止めている。本人が指導をどう受け止めたかは分からない。一日も早い回復を願っている」

-学校側の責任は

「男子生徒から聞き取りができていないので、現時点では申し上げられない」

-21日の7時間半、22日の8時間45分という指導は長いのか

「実質的な指導は35分と1時間。ほかは反省文を書かせるなど、自主的な学習の時間。比較的軽い指導と考えている」

-ほかの生徒や教員への聞き取りは

「現在行っている」

-今回以外にも自殺未遂などが起きているが

「学校と連携しながらいろいろやっている。取り組みを進める中で今回のことは重く受け止める」

-ほかに指導を受けた生徒は何か話しているのか

「(教員から)語気強く言われた、という生徒は1人いた」

-22日の指導を終えてから転落するまでは

「保護者に男子生徒を引き渡すために待機させていた」

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平成29年12月26日朝日新聞大阪本社版

神戸市立高 指導後に高1飛び降り 2日連続面談、自習

神戸市立六甲アイランド高校(同市東灘区)で22日夕、同校1年の男子生徒(16)が校舎5階から転落し、意識不明の重体になっていることが26日わかった。ネット上での生徒間トラブルについて、前日から転落直前まで2日間にわたり教員から指導を受けており、市教委が関連を調べている。

兵庫県警東灘署などによると、22日午後5時ごろ、同校から「敷地で男子生徒が倒れている」と119番があった。校舎5階の窓が開いており、自ら飛び降りたとみられる。

市教委によると、今月、短文投稿サイト「ツイッター」で、特定の生徒を対象にした書き込みからトラブルに発展。指導は教員3人が複数の生徒を対象に、2日間にわたり実施された。21日は7時間半、22日は8時間半かけ、教員の面談による事実確認・指導は各30分~1時間で、残りの時間は反省文の作成や自習をさせた。25、26日は面談の予定だった。生徒が転落したのは、22日の指導終了後、保護者の迎えを待つ間だった。

市教委は「こういう事態になったことを重く受け止めている」と陳謝。「大半が自習や反省文の作成で、指導時間が長いとは考えておらず、転落との因果関係はわからない」とし、保護者の意見も聞きながら今後の調査を検討する。【栗田亨】

 

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平成29年12月26日神戸新聞

高1生、8時間指導直後に転落 SNSトラブルで

神戸六甲アイランド高1

校舎5階から男子生徒が転落した神戸市立六甲アイランド高校=神戸市東灘区向洋町中4

神戸市東灘区の市立六甲アイランド高校で1年の男子生徒が校舎5階から転落し、重体となっている問題で、男子生徒は転落直前、会員制交流サイト(SNS)を巡る生徒間のトラブルについて約8時間にわたり教諭らから事情を聴かれ、反省を促されるなどの指導を受けていたことが25日、神戸市教育委員会などへの取材で分かった。23日以降、クラスと離れた別室での指導を受けることが決まっていたといい、市教委は「指導が適切だったのかどうかも含めて調査する」としている。(井上 駿、広畑千春)

学校関係者らによると、男子生徒は今月発覚したツイッター上のトラブルについて22日、始業前から1階の個室でトラブルの内容や経緯などを聴かれるなどした後、休憩や自習を挟みつつ、翌日以降に別室での指導を受けることを告げられた。指導を終えた十数分後の午後5時ごろ、敷地内で倒れているのが見つかった。校舎5階の窓が開いており、ここから転落したとみられる。

同校の関係者によると、同様の指導では、朝から1人で別室に入り、一日の予定を書き出し、それを実践できたかなどの反省を記したり、学校や家族について作文を書いたりするという。期間は2週間近くに及ぶこともあったといい、生徒指導担当教諭から「高校を辞めるか」

などと強い口調で言われた生徒もおり、関係者は「指導を受けた後、かなり落ち込んだ様子の生徒もいた」と話した。

市教委は、男子生徒に関して「指導の中身や期間については明らかにできない」とする一方で、「指導の際は、生徒の人権に十分配慮している」と強調。「男子生徒の転落と指導の関係については、現段階では分からず、詳細は差し控える」としている。

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平成29年12月24日神戸新聞

高1生、校舎から転落 転落前、別室で担任と会話

神戸市東灘区の市立六甲アイランド高校で、1年の男子生徒が校舎から転落し重体になっている問題で、転落前に、担任が男子生徒と教室以外の別室で話していたことが23日、市教育委員会などへの取材で分かった。

市教委などによると、転落のあった22日は終業日で、6時限目まで授業があった。男子生徒は大掃除などの後、男性担任に呼ばれ、1階の部屋で話した。内容や生徒の様子は「調査中で答えられない」としている。アンケートなどでは、いじめや家庭、部活動での悩みを抱えている様子はなかった

という。

男子生徒は22日午後5時すぎ、敷地内で倒れているのを発見された。校舎5階の窓が開いており、ここから転落したとみられる。

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