2023年1月13日付朝日新聞デジタル

願いを校長かなえず 自死した女児の手紙、いじめについて「よんで」

 愛知県豊田市で2019年、小学6年の女児2人が自死した問題で、太田稔彦市長と昨年12月に面談した遺族側が12日、市役所で記者会見を開いた。市長がいじめの加害児童への指導には「応じられない」と回答したことについて、「失望を禁じ得ない」とした。司法に委ねる意向は示さなかった。

  • 小6女児2人自死「いじめとの関連否定できない」 市の再調査チーム

 代理人の西口誠、長尾美穂の両弁護士が会見した。遺族の希望で、女児が残した手紙を初めて公開。いじめについて、1人が別の友だちに「死ね」「キンがつく」などと言われたことが記されていた。校長にあてて、「全校生徒によんでください」とあるが、その願いはかなえられなかったという。

 加害児童はすでに中学校も卒業した。遺族は「再発防止には、加害児童がいじめをした事実に向き合うことが必要不可欠」と訴えている。市長との面談後も、遺族の気持ちは「現行法制度下でも県教委と連携して加害児童に指導することができないとは思えない」とした。

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会見した遺族側代理人の西口誠(右)、長尾美穂の両弁護士=2023年1月12日、愛知県豊田市役所、中川史撮影
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女児が書き残した手紙(裏)。いじめについての詳細と、手紙を書いた3つの理由が記されている=2023年1月12日、中川史撮影
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女児が書き残した手紙(表)=2023年1月12日、中川史撮影

 愛知県豊田市で2019年、小学6年の女児2人が自死した問題で、太田稔彦市長と昨年12月に面談した遺族側が12日、市役所で記者会見を開いた。市長がいじめの加害児童への指導には「応じられない」と回答したことについて、「失望を禁じ得ない」とした。司法に委ねる意向は示さなかった。

  • 小6女児2人自死「いじめとの関連否定できない」 市の再調査チーム

 代理人の西口誠、長尾美穂の両弁護士が会見した。遺族の希望で、女児が残した手紙を初めて公開。いじめについて、1人が別の友だちに「死ね」「キンがつく」などと言われたことが記されていた。校長にあてて、「全校生徒によんでください」とあるが、その願いはかなえられなかったという。

 加害児童はすでに中学校も卒業した。遺族は「再発防止には、加害児童がいじめをした事実に向き合うことが必要不可欠」と訴えている。市長との面談後も、遺族の気持ちは「現行法制度下でも県教委と連携して加害児童に指導することができないとは思えない」とした。

 会見では、遺族の提案する指導方法では「うまくいくとは思えない」という市長とのやり取りが紹介された。加害児童が指導の呼び出しに応じない可能性や反論して受け入れない事態は「想定のうち」として、遺族は「指導を試そうともしない市長の姿勢には、失望を禁じ得ない」とコメントした。

今後改めて市教委と県教委に対し、加害児童に対する指導を申し入れる考え。また、法的措置も検討したが、「罰を求めているのではない」として現時点で損害賠償などを求める考えはないことも明らかにした。(中川史)

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2022年10月1日朝日新聞デジタル

いじめ加害児童への指導 教委「できない」 愛知・豊田女児2人自死

 愛知県豊田市で2019年、小学6年の女児2人が自死した問題で、市教育委員会は30日、いじめの加害児童(当時)への指導などを求めていた遺族側に対して、「現行法制度下では卒業した加害児童に対する指導はできない」などと回答した。

 この問題をめぐっては、市長が再調査を委託した第三者チームが6月、同級生による「いじめが存在した」と認定。「自死との関連性を否定することはできない」と結論づけていた。遺族代理人の弁護士2人が8月、すでに中学校も卒業した加害児童に再調査の結果を伝え、指導することなどを求める要望書を提出していた。

 市教委がメールで送った回答によると、校長らがすでに同級生全員にメッセージを送り、記者発表や市のホームページに再調査の結果を掲載したことで、「加害児童に対しても、でき得る限りの方法で伝えた」と説明した。

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