平成28年3月18日西日本新聞
中2転落死「いじめ要因」 第三者委が報告書公表 熊本市教委が謝罪
熊本市内の市立中2年の女子生徒=当時(14)=が昨年3月20日、自宅マンションから転落死したのをめぐり、学校でのいじめとの関連を調べていた同市の第三者委員会は17日、「大きな要因がいじめにあることは否定できない」とする報告書概要を公表した。複数の同級生からの悪口など16件をいじめと認定。転落死の1週間前に、登校しなくなった女子生徒に積極的な対応を取っていれば「最悪の事態だけは防ぐことができたのではないか」とし、学校の不十分な対応が要因である可能性も指摘した。
市教育委員会は同日、記者会見を開き、岡昭二教育長は「取り返しの付かない事態となったことに強く責任を感じている」と遺族への謝罪の言葉を述べた。
女子生徒は自宅ベランダから転落死した。熊本県警は自殺とみている。市教委は昨年3月30日、緒方宏明・尚絅大短期大学部教授など4人でつくる第三者委を設置。同級生への聞き取りなどを行っていた。
概要によると、16件のいじめは、ノートを教室のごみ箱に捨てた▽髪形や体形、顔の悪口を言った-などで、時期の特定が困難なものもあるが、一昨年11月から昨年3月に起きた。女子生徒が泣きだしたこともあった。学級崩壊の状況でいじめが発生し「教員側には気付かれずエスカレートしていった」と指摘した。
女子生徒は昨年1~3月、学校に相談。学校側は同級生たちに謝罪させたが、この対応も「謝罪で一件落着とし、いじめのエスカレートの見過ごしにつながった」などとした。
学校は同3月12日、女子生徒と母親を同級生と面会させたが、同級生への厳格な指導や女子生徒への心のケアを行わなかった。同13日から登校できなくなった女子生徒は、精神的に追い詰められ「自ら死を招く危険な行為に及んだとしても不思議ではない」と結論づけた。クラスの状況も危機的で、学校側は新卒だった担任への支援の必要性を見抜くべきだったとした。
市教委によると、遺族側に報告書の概要を伝えたが、内容に納得できないとして受け取りを拒否しているという。