平成28年1月29日朝日新聞西部本社版
いじめ、担任は把握か 沖縄小4自殺、両親「解明を」
自殺を図った約2週間前に実施された定期アンケート。男児は「どうしればいんですか」などと訴えていた
沖縄県豊見城市で昨年10月、小学4年の男児(当時9)が自殺した問題について、両親が28日、那覇市内で初めて記者会見した。両親は「息子を守ることができなかった私たちが息子にしてあげられる唯一のことは真相を解明してあげること。なぜ命を絶たなければならなかったのか。真相が知りたい」と訴えた。
両親は会見で、情報公開請求で入手した県教委作成の公文書を公表。男児がいじめられている趣旨を書き込んだアンケートについて、自殺前に学校側が記述を把握していた可能性があると指摘した。
学校側は、担任が記述に気づいたのは男児が自殺を図った後だったと説明している。
文書は昨年10月16日付で、県教委の義務教育課と豊見城市を担当する県教委の出先機関の電話のやりとりを記録した「電話通信用紙」。「●●小学校●児の自殺未遂事案について」(●=黒塗り)とタイトルがあり、9月29日にアンケートを実施した旨の記述に続き、「※担任は、アンケート回収時に●児のアンケート内容を確認しているが、重大事態と捉えずに校長等への報告及び児童への面接等、何も対応をしていない」と記されている。
男児はアンケートに「いつもいじわるされたりぬすまれたりして」などと記述。10月12日に自殺を図り19日に亡くなった。市教委や学校はこれまで、記述を担任が確認したのは10月13日と説明している。
両親は「息子はこの文章をどういう気持ちで書いたでしょう。書くのにどれだけ勇気が必要だったでしょう。(事前に)見ていたというのが本当なら、自殺は止められたかもしれない」と涙ながらに語った。
説明と県の公文書が食い違っていることについて、市教委の照屋堅二教育長は取材に「その内容ややりとりがあること自体、初めて聞く話。担任がいじめアンケートの内容を把握したのは10月13日だったと認識している」と回答。一方、文書を作成した県義務教育課は、不正確な記述の可能性があるとして「事実確認をもう一度しっかりしたい」と答えた。(木村司)