令和元年7月4日付朝日新聞

中1自殺、顧問の指導との関連性に校長が言及

さいたま市で昨年8月に市立南浦和中学1年の男子生徒(当時13)が自殺した問題で、同校の益子慶次校長(60)が2日夜、報道陣に答え、生徒が所属したバドミントン部顧問の行き過ぎた指導が「自殺を招いた複雑な事情の一部となった可能性がある」と関連性に触れた。ただ、他の生徒への聞き取りでは、この生徒への直接の暴言は確認できず、今後の調査を待つとの姿勢を示した。

遺族は「顧問の行き過ぎた指導が自殺の原因の疑いがある」と訴え、第三者委員会による真相究明を市教委に要請。4日に同委員会が立ち上がる。

益子校長によると、顧問の暴言などを確認したのは昨年4月に校内で実施した体罰などに関するアンケート。当時2年の部員4人が「バカ」と言われたり胸ぐらをつかまれたりしたと回答した。

そこで益子校長が口頭で注意し、顧問が保護者や部員に謝罪した。ただ、その後も7月に、「1を言ったら10をやらないといけないんだぞ」と言われたり、夏休みに「圧を感じた」指導を受けたりしたという生徒もいた。

自殺後に生徒が部活で悩んでいたと聞かされた際、顧問の指導が原因の一部として「あったのかな」と考えたが、「一番の原因とは考えていない」と述べた。

益子校長は取材に先立って開かれた緊急の保護者会で約320人を前に、自殺の事実を伏せて不慮の事故とした経緯を説明。「『自殺をおおごとにしたくない』との遺族の意向を尊重し、学校から

提案した」と話したという。

益子校長は報道陣に「不慮の事故扱いとすることについては(もともと)市教委から『そういう選択肢もある』と提示された」と発言。これに対し、市教委は「当時の記録はないが、こちらから提案した

とは考えにくい」と否定している。

遺族は2日午前の会見で「自殺を公表すると、マスコミが駆けつけ大変なことになる」などと校長らに言われ、不慮の事故扱いに同意したと主張している。

益子校長はそうした説明は一切ないとした一方で、昨年12月に遺族から第三者委員会の立ち上げなど詳細調査の実施を求められた際には、「自殺の事実が外部に漏れ、根も葉もないうわさの流出の可能性がある。成育歴や家庭の状況を聞かれる」と、詳細調査のデメリットを伝えたことを明らかにした。(吉岡資、森治文)

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令和元年7月2日付東京新聞朝刊

中1自殺「顧問が原因」 さいたま、昨夏に 指導巡り遺族訴え

さいたま市立南浦和中一年の男子生徒=当時(13)=が昨年八月、部活動に行く途中に自殺し、遺族が三十代の男性顧問の指導が原因の疑いがあると訴えていることが一日、関係者への取材で分かった。市教育委員会は、第三者委員会を設置して調査を始める。

生徒の母親や市教委によると、男子生徒はバドミントン部に入ったが、練習についていけず悩んだ様子だったという。夏休み中の昨年八月二十五日、顧問から母親に「生徒が部活を休み、ゲームセンターにいた。明日個別に呼んで指導する」と電話があった。生徒は翌二十六日、部活に行くため自宅を出た後、自殺した。

学校が十二月、全校生徒に部活に関するアンケートをすると、別のバドミントン部員が顧問から「おまえ、存在する意味あるのか」と暴言を吐かれたり、胸ぐらをつかまれたりしたと答えた。

「(男子生徒が)圧をかけられていた」との回答もあった。

また校長は、母親に「一度休むと外周十周という厳しいペナルティーがあった」と説明していた。顧問は学校の聴取に「口調が強かったり、言い方がきつかったりした。至らなかった点は反省している」と答えたという。今春、別の中学校に異動した。市教委は既に第三者委の専門家五人を選任。四日に初会合を開く。

母親は取材に「顧問から謝罪はなく、学校から詳しい説明もない。事実を知りたい」と話した。市教委の吉田賀一指導二課長は「指導が自死の要因かどうか確認できなかった」と述べた。

 

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